かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

原作『ミッドナイト・バス』と映画『ベロニカとの記憶』(2月3日)。

2月3日、土曜日。新宿武蔵野館へ、気になっていた映画『ベロニカとの記憶』を見にいく。


早く着いたので、近くの喫茶店で、映画『ミッドナイト・バス』の原作、伊吹有喜作『ミッドナイト・バス』(電子書籍)を読む。原作に忠実でいながら、エピソードを整理して、すっきりした物語に再構成しているな、とあらためて先日見た映画化のうまさに感心。



原作『ミッドナイト・バス』には豊穣な情感があるけれど、これをそのまま映画にしたら、エピソードも登場人物も複雑になりすぎる。映画は、それをきちんと刈り取って、わかりやすく原作の情感を伝えている。



リテーシュ・バトラ監督の『ベロニカとの記憶』を、朝一番の上映で見る。


60歳を過ぎ、ひとり静かに引退生活を送るトニーのもとに、ある日、見知らぬ弁護士から手紙が届く。それによれば、40年前に別れた当時の恋人ベロニカの母親だという女性が、トニーに日記を遺しているという。思いもよらない遺品から、トニーは長い間忘れていた青春時代の記憶が呼び覚まされていき、若くして自殺した親友や初恋にまつわる真実をひも解いていく。


(「映画.com」より)
http://eiga.com/movie/87930/


映画がテーマにしているのは、人間は自分の青春時代の想い出を、多かれ少なかれ美化して記憶にしている、ということ。そして、この映画では、その装飾された記憶を修正しなければならないような、出来事が起こってくる。



トニーは、40年前の恋人ベロニカに会う。


テーマは共感できるけれど、過去のシーンが錯綜して出てくるので、鈍感なわたしには意味がつかみにくかった。はじめて黒澤明の『羅生門』を見たときに似ているかもしれない。『ベロニカの記憶』も、『羅生門』のように、もう一度見たらもっと感動できるのかもしれない。むかしの恋人を演じたシャーロット・ランプリングの能面のような表情が印象的。


『ベロニカの記憶』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=QsApjdZwXoM



新宿駅東口に近い回転寿司へ寄る。安いけれど、落ち着かないお店で、酒を注文したら、なんにも聞かず冷やがでてきて、みそ汁を注文したら、なかった。安いのだからめんどうな注文をするな、ということか。お酒のおかわりをする気にもなれず、川越へ向かう。