かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ジョー・ライト監督『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』を見る(4月5日)。


『ウィストン・チャーチル』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=DABFOVeUwEU



4月5日、木曜日。11時15分から「イオン板橋」で、ジョー・ライト監督の『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』を見る。

第2次世界大戦初期、ナチスドイツによってフランスが陥落寸前にまで追い込まれ、イギリスにも侵略の脅威が迫っていた。連合軍が北フランスの港町ダンケルクの浜辺で窮地に陥る中、就任したばかりの英国首相ウィンストン・チャーチルの手にヨーロッパ中の運命が委ねられることに。ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、究極の選択を迫られるチャーチルだったが……。


(「映画.com」から)
http://eiga.com/movie/88218/


昨年、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』を見たが、これは歴史的撤退の事実をノンフィクション映画のように、注釈を極力まじえずに描いたものだったが、この撤退を決断したのが、ウィンストン・チャーチルで、本作の主人公。


なぜか嫌われ者のチャーチルがイギリスの首相に選ばれ、ナチス・ドイツとの戦争の指揮をとることになる。絶対的な窮地のなかで、ダンケルクの撤退を決断するあたりは、おもしろく見ていたが、後半の「和平交渉か徹底抗戦か」でチャーチルが苦悩し、「徹底抗戦」を選択するあたりになると、だんだん気持ちがひけてきた。


むかしの戦意高揚映画を見ているような感じなのだ。


チャーチルは、国民の声をきくため、ひとりで電車にのる。そして、「和平交渉」か「徹底抗戦」かを乗客たちに聞く。乗客たちは、「和平交渉」はありえない、「徹底抗戦だ」と主張。


チャーチルは、それを国民の声と受けとめ(ただ乗り合わせた一両の電車内の乗客の意見にすぎないのに)、閣僚たちの反対を押し切り、「徹底抗戦」を強行するくだりで、わたしの、この映画への気持ちは一気に冷めてしまった。


歴史をあとから見てなら、どのようにもそれを評価できる。戦争に勝ったのだから、その選択で正しいのだろう。しかし、この時点で「和平交渉」を一切拒否し、国民の危険を承知のうえで、「徹底抗戦」を叫ぶチャーチルが、わたしには太平洋戦争中の日本と重なる。


国が滅びても断固戦う、という国家の判断で「徹底抗戦」し、失わなくてもいい生命を大量に消滅させた日本の歴史を考えると、この映画のチャーチルを素直に賛美できるのだろうか、とおもってしまう。