かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

中村文則著『R帝国』を読む。

R帝国

R帝国



本の帯に、「圧倒的な熱量に、あなたは必ず震撼する!!」とあるけれど、SF小説にあまりなじみのないせいか、熱量に幻惑されて、意図するものが消化できないまま読了。現政権への批判につながるような部分には多少共感できたものの、著者が書きたいのは、それだけではないのだろう。1冊読むのにけっこう疲れてしまった。


以下、心にひっかかった言葉を引用しておく。

私はずっと思っていた。国を豊かなまま思い通り支配するために必要なのは、一部のエリートだけを残し、残りの国民達を無数のチンパンジーのように愚かにすることだと。・・・我々がどこかに国を憎めと言えばキーキー憎み、さらに自分達の生活が上手くいかないのは誰かのせいだとキーキー騒ぎ、私達が何気なくあれが敵だと示せばそのフラストレーションから裏を考えることなくキーキー盛り上げってくれる存在達に。

まず国民の大半を、わかりやすく言えば、簡単に言えば、馬鹿にしなければならない。

まず文化全体のレベルを、一見わからないように少しずつ下げていくこと。くだらないものに人々が熱狂するくらい、文化的教養を下げていくこと。


痛烈な批判だけれど、政権のほしいまま、やりたい放題されている現状をみると、こんな言葉に共感してしまう自分がいる。