7月11日、水曜日。東武練馬を出て、「新宿シネマカリテ」へ、戸田彬弘監督の『名前』を見にいく。
1時間ほど早く着いたので、向かいの「スターバックス」に寄って、川本三郎編『荷風語録』(岩波現代文庫)を読む。
- 作者: 永井荷風,川本三郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/04/14
- メディア: 文庫
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荷風が、東京を舞台にした小説、もしくは東京散歩などを描いた随筆を、川本三郎さんの解説つきで、辿っていこうという本。少しずつ読み継いでいる。これまで「明治・大正の作品」として、「深川の唄」、「狐」、「伝通院」、「銀座」、「日和下駄」を読む。
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11時50分より、『名前』を見る。知っている俳優は筒井真理子という女優ひとりで、ほとんど白紙状態で見る。
最近、白紙状態で見た映画としては、中川龍太郎監督の『四月の永い夢』がある。この作品はきめ細かく、映像が美しかった。主演女優の朝倉あき、共演の三浦貴大もよくて、期待以上に満足した。
それに近いものを『名前』にも、期待したが・・・。
中村正男は経営していた会社が倒産し、茨城の地にやってきた。周囲にさまざまな偽名を使い、なんとか体裁を保ちながら自堕落な暮らしを送っていた。
ある日、正男を「お父さん」と呼ぶ女子高生・葉山笑子が突然現れる。正男は笑子のペースに振り回されながらも、親子のような生活に平穏な時間を見出していく。しかし、笑子が正男のことを生き別れた父親だと思っていることに気づき、自分が消してきた過去について考え始めるが……。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/85119/
女子高生・葉山笑子(駒井蓮)が突然現れて、中村正男(津田寛治)を「お父さん」と呼ぶ。以下にも唐突だが、それが説明されないまま話をひっぱっていく。その謎がどうなっていくか、という先への期待よりも、意味ありげに、もったいぶる「真相」に、イライラさせられた。笑子と正男の会話も、なんだか幼稚で、こなれていない自主映画を見せられているような心地がする。
「真相」が判明するまでの経緯も、不自然なところがあちこちにあって、共感できなかった。津田寛治演じる中村正男は、謎の男として登場しているが、影をもつ複雑な男としての厚みというか、陰影が感じられない。
がっかりして映画館を出る。
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暑い。炎天下のなか、昼飯をどこでとるかお店を見ながら、歌舞伎町方面へ歩く。以前「かぶら屋」という立飲みだったところが、「春田」という立飲みに変わっていた。寄ってみる。やきとん主体の店で、「かぶら屋」であった「黒おでん」のメニューがなくなっていたが、だいたい同じような店だった。
ホッピーを飲みながら、やきとんを食べる。先にカウンターで飲んでいた若い男性が、なんだか汚い言葉で声を荒らげていて、カウンターのお店のひとに、「他のお客さんもいるんだから、やめてください」と再三注意を受けていた。常連客なのか、お店のひとには逆らわず、「わかった」といいながら、また少し経つと大きな声を出して、うるさかった。
」