2月4日、月曜日。
喫茶店で2時間近く『フランケンシュタイン』を読んだ後、公園通りにある「渋谷ヒューマックスシネマ」で、二宮健監督の『チワワちゃん』を見る。
★
原作(コミック)の舞台は、1990年代。まだバブルの余波が残っているのだろうか、若者たちはディスコにみんなで集まって、飲んで踊ってsexして、若さを満喫している。
映画は、舞台を現代に置き変えている。
となると現代の若者も、こんなバブル時期のように派手に遊んでいるのだろうか、ってちょっと疑問にもおもう。いまの若者は、もっと貧しいのではないか、って。
でもお金って、もっているひとはたくさんもっているのかもしれないし。
わたしは、こういう華やかな青春時代をすごしたことがないので、そのあたりがよくわからない。なにかめずらしいものを見るようにして、見てしまった。
★
遊び仲間のチワワちゃんが、バラバラ死体になって東京湾で発見された。チワワちゃんは、可愛くて遊びが派手で、小柄な女の子だった。
遊び仲間のミキ(門脇麦)は、チワワちゃんが殺されてから、あらためて、チワワちゃんってどんな子だったか・・・あのころの遊び仲間に聞いて歩く。
はじめのころの思い出。
ディスコにいる客のカバンに600万円はいっている、と店のひとにこっそり聞いて、いきなりそのカバンを奪って逃げたのは、チワワちゃんだった。その600万円でみんなして3日間遊びまくって、全部使い果たした。
みんな、それぞれチワワちゃんとの思い出がある。
いっとき恋人の関係だったり、sexだけの関係だったり、お金を貸したまま返してもらえなかった関係だったり、彼となれなれしくするので「横面を張り飛ばした」関係だったり、そこまで親しくないけど、一度セクシーな交渉をもった程度の関係だったり、、、。
結局、チワワちゃんってどんな女の子だったのだろう?
みんなで集まらなくなってからのチワワちゃんの足取りをたどってみると、、、
モデルとしてけっこう華やかな暮らしをしていたようでもあり、宿なしになって、むかしの仲間のところを泊まり歩いて、お金を借りまくっていたようでもあり、結局みんなの話はテンデンバラバラで、はっきりしない。みんな、チワワちゃんの本名も知らなかった。
チワワちゃんが、バラバラにされて捨てられていた、という東京湾にみんなで集まった。そして、みんなで海に花束を投げて、それからお酒を酌み交わして、チワワちゃんを追悼した。
★
岡崎京子の原作(コミック)は、これで3作映画化されている。
最初が蜷川実花監督、沢尻エリカ主演の『ヘルタースケルター』(2012年)。蜷川監督の特徴で、赤を強調した極彩色の映像が眩しかった。
次いで、行定勲(ゆきさだ・いさお)監督、二階堂ふみ主演『リバーズ・エッジ』(2018年)。90年代の高校生の尖った交流関係が描かれて、おもしろかった。わたしは、二階堂ふみが見たくて、見にいった映画。
そして、今回の『チワワちゃん』。
年齢的には、『リバーズ・エッジ』の高校生たちが、卒業してからの話ってことになるけれど、殺伐としていた『リバーズ・エッジ』に比べると、こちらの青春は享楽的で、それほど共通性は感じられない。
共通しているのは、どの作品もとんがっている。ロック的な感覚といってもいい。
『チワワちゃん』の二宮健監督は、27歳だという。これからどんな作品を撮るのだろう?
★
帰りは、センター街の「テング酒場」で、ホッピーと麻婆豆腐定食。『フランケンシュタイン』の続きを読む。