先日、嵐山町(らんざんまち)へキャンプにいったときの双子。めずらしく仲がいい。
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5月26日、日曜日。
前日、娘と双子の孫(5歳、女子)が私の川越の家に泊まりにきた。
いつもこの家族は4人でキャンプにいくが、いっぺんひとりでテントに一泊してみたい、という夫の願望をかなえ、それならと残りの3人は、わたしのマンションへ泊まりにきた。
日中近所のひとたちとバーベキューをして遊んだらしく、疲れていたのか、その日は双子も娘も早く寝てしまった。
翌日6時前に、双子の妹・ミーが起きてきて、「回り将棋をやる?」という。なかば寝ていたので、「あとで」といったが、「いま」という。
1ヶ月くらい前、リフォームの手伝いにきたとき、回り将棋を教えたら、それから遊びにくるたびに「回り将棋をやる?」と誘われる。
考えていることが狭い。
以前は、わたしの顔をみると、「スーパーマンを見る」(YouTube)といっていたが、いまはそれが「回り将棋をやる?」にかわった。
「じいじは遅くまでお酒飲んでたから、まだ眠い」といったが、朝飯をなにかつくっていた妻が「じゃあ、1回だけやろうか?」というので、しかたなく3人ではじめた。やりはじめると、わたしも本気になる。
ところがはじめる早々、ミーが、「千」(「金」を4枚将棋盤の上で振るが、その「金」の1枚が逆立ちして立っためずらしい状態)を出して、あっけなく勝負がついた。ミーの勝ちだ。
ミーが、「(将棋が)立った立った」と騒いだので、娘と姉のユーが起きてきた。
ミーは、母になにかいって盤上に逆立ちしている「金」を見せにつれてきた。
「すごい、ミーが立てたの?」と娘がミーの興奮に賛同して、「ミーすごいね」と褒めた。
勝負が早くおわったので、ミーは「もう1回」と言いだす。言いだすと粘る。
で、ミーと妻とわたしの3人で2回戦をはじめる。回り将棋は、「金」4枚の振り駒によって進み、「王様」までじょじょにあがっていく。
こんどは長い勝負になった。
娘と姉のユーは、テーブルにすわった。
「ミーちゃん、バームクーヘン食べる?」と娘がいったが、ミーは「あとで」という。
先日泊まりにきた来客がおみやげに買ってきたもので、おいしいものらしいが、わたしは甘いものは食べない。
2回戦はなかなか勝負がつかず、しかもわたしの形勢がよくて、ミーはいちばん下で大負けしている。そうなると、どうも飽きてきたらしい。
「ミー、バームクーヘン食べる?」と娘(双子の母)がまたいうと、こんどは「食べる」といって、将棋を置いたままいってしまった。
「ミー、やめるのか」というと「やめる」という。
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わたしはソファーに寝ころんで、読みかけの本を読みはじめる。
ソファーでうとうとしていると、ミーが、リフォームで張り替えた床のうえに寝て、ギャーギャー泣いている。
娘にきくと、「よくわかんないけど、バームクーヘンの取り分が不満みたい」と笑っている。
一応、娘はミーの分も取り置きしておいたが、その量が平等でない、というのが言い分らしいけれど、ただ顔を赤くして泣くだけで、きちんとした説明はできない。
妻が「おいしいアイスがあるよ」と気をそらしてみるが、床で仰向けになったまま足をバタバタしている。
そばで、バームクーヘンをよぶんに食べた姉のユーが、椅子のうえからミーを見おろして、してやったりという表情で笑っていた。
わたしは、隣の部屋に移動して、布団でもう一度寝なおす。