8月30日、日曜日。暑い。
ギャヴィン・フッド監督、キーラ・ナイトレイ主演の『オフィシャル・シークレット』を見たかったけど、埼玉県では、新都心の「MOVIX さいたま」しかやってない。
クルマで40分ほど走って、新都心へいく。
クルマのなかで、きのうこしらえたビートルズがカバーした元歌を集めたプレイリストを聴く。
むかしは『ビートルズ・クラシックス』というタイトルで輸入盤のようなものが出ていたけど、カセットテープとCDを大量処分してからあと、それがみつからない。
でも「アップル・ミュージック」で曲をひろいだしたら簡単に同じものができた(曲順はちがうけど)。原曲プレイリストも、ブラック・ミュージック中心で味わいがある。
こういう楽曲を若き日のビートルズは、聴きふけっていたのだ。
ただひとつ、アルバム『ウイズ・ザ・ビートルズ』収録の「デヴィル・イン・ハー・ハート」(リード・ヴォーカル:ジョージ・ハリスン)の原曲だけがみつからなかった。
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先日は駐車場で迷ったが、2回目なので問題なく駐車。映画館でチケットを発券し、妻はお店をぶらぶら見てから時間に座席へいく、というので、わたしは近くのコーヒー店で、盛田隆二著『夜の果てまで』の続きをタブレットで読む。
この小説がおもしろい。
家庭教師をやっている北海道大学の学生が、教えている子供の美しい義母と相思相愛になり、駆け落ちをするという話。
スジでいうと、よくありそうなことになるけど、登場人物のひとりひとりの描きわけがうまいし、ストーリーの展開もムリがない。
学生は、年上の女性の魅力に夢中になる。自分の人生から彼女を失いたくなかった。内定していた北海道新聞社を破棄し、女性との逃避行を選ぶ。
純愛と性愛は別々なものではない。心身が燃え上がり、想いを募らせていく。
もうひとつこの作家は、舞台になっている場所を精密に描く。わたしは北海道の北大通りを知らないけど、その風景を知っているような気分になる。
それは、駆け落ちした先、東京の芝浦・品川の湾岸風景もそう。肉体労働者が多く働く東京湾の近くに、ふたりはアパートを借りる。
もう少しで読了。どんな結末になるのか。
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11時20分から『オフィシャル・シークレット』はじまる。
キーラ・ナイトレイ主演映画『オフィシャル・シークレット』予告編
2001年9月11日、同時多発テロ事件が発生して以降、米国政府はテロへの報復感情からフセイン大統領が大量破壊兵器を開発していると喧伝し、イラク戦争開戦に向けあらゆる手段を講じていた。
米国と共同歩調を取る英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)に勤務するキャサリン・ガンはある日、米国の諜報機関NSA(国家安全保障局)から、驚くべきメールを受け取る。
イラクを攻撃するための違法な工作活動を促すそのメールに彼女は強い憤りを感じ、メールをマスコミにリークする。
(「公式サイトより」。読みやすいように改行しています)
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英米は、イラクには大量破壊兵器があるとして戦争に踏み切ろうとする。しかし、イギリスの世論は、戦争に反対するものが多かった。アメリカとイギリスの政府は、イギリスの世論が戦争推進に傾くよう、「違法な工作」をたくらむ。
英国の諜報機関GCHQ(政府通信本部)につとめるキャサリン・ガスは、アメリカから送られてきた、イラクを攻撃するためのスパイ工作を指示するメールを読み、愕然とする。
国民を騙し、イギリスはアメリカと組んで、イラクを攻撃しようとしていたのだ。
国家公務員には守秘義務がある。
しかし、国家が不当な戦争をやろうとしている事実を国民に知らせなくていいのか。
どちらを選択するべきか、キャサリンは苦しむ。
「わたしは政府ではなく、国民につかえた」
と、キャサリンは、告発を選んだ動機をあとで語っている。
突然だけれど、わたしは、公文書を改竄したことで自殺した近畿財務局職員・赤木俊夫氏が、同じ言葉を奥さんに語っていたことを、おもいだした。
「メール」をキャサリンは、マスコミへ流してイギリスが戦争に加担することを阻止しようとする。しかし、イラクへの攻撃をとめることはできなかった。
「秘密」がマスコミに漏れたことで、厳しい犯人探しがはじまる。
キャサリンは、リークしたのは自分だ、と名乗り出た。「公務秘密法違反」で起訴される。
いったんは釈放されるが、国家の監視下で、盗聴され、尾行される恐怖の日々がはじまる・・・。
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キャサリン・ガンをキーラ・ナイトレイが演じている。微妙な表情の変化で、迷いと決断と恐怖を演じる。知的なこの女優が好きになった。
ベテランの人権弁護士を演じたレイフ・ファインズもいい。
余談だけれど、日本は、このときの首相が小泉純一郎。
イラクは大量破壊兵器をもっている、というアメリカの協力要請に従い、後方支援に踏み切っている。
政権の不正を知ったとき、公務員はどう行動したらいいのか。
安倍政権でなんどか直面している問題にも深くからんでいるので、空想のサスペンス映画を見ているのとはちがうリアルな質感があった。
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帰りは、上尾の日帰り温泉へ寄って帰ろうということに。そこまでわたしが運転を担当する。
しかし、日帰り温泉の駐車場が混んでいたのでやめる。
わたしは、混んでいても早くなかへはいってビールを飲みたいとおもっていたが、がまん(笑)。
そこから少しいったところに「うどん屋」があったので、そこでカラカラに乾いた喉を、生ビールで潤した。