かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

西川美和監督『すばらしき世界』を見る(2月11日)。

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『すばらしき世界』。仲野太賀(左)と役所広司






2月11日(木)晴れ。


東武東上線若葉駅近くの「ユナイテッド・シネマわかば」へ、クルマで30〜40分走り、西川美和監督『すばらしき世界』を見にいく。


公開初日。早く見たかった。


映画館のある「若葉ウォーク」へ早く着いたので、建物内の本屋さんへ寄り、ロッキングオンの最新号でボブ・ディランの記事を読む。



2月26日
に世界同時発売されるアーカイブ・コレクション『1970』(CD3枚組)には、ジョージ・ハリスンとのセッションが9曲含まれている、というニュースにびっくり。



1970年5月1日におけるジョージ・ハリスンとのスタジオ録音は全9トラックで、ディランのオリジナル(「いつもの朝に」「エデンの門」「ママ、ユー・ビーン・オン・マイ・マインド」)や、カバー(ビートルズの「イエスタデイ」、エヴァリー・ブラザーズの「夢を見るだけ」、カール・パーキンスの「マッチボックス」)など幅広く訴える魅力のある歌がレコーディング日付順に並ぶ。




ソニー・ミュージック オフィシャル・サイト」
https://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/525142


ボブ・ディランのアルバムだから、ディラン中心のセッションだろう。ジョージ・ハリスンがどの程度からんでいるのか、わからない。うれしくもあり、不安でもある(笑)。


ディランの未発表音源集だから、どうであれ、結局は大歓迎だけど。




午後1時から西川美和監督『すばらしき世界』を見る。





映画『すばらしき世界』本予告 2021年2月11日(木・祝)公開



「ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品となり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。




(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/92069/





生一本(きいっぽん)だが、感情が熱すぎる男・三上正夫(役所広司。13年の務めを終えて、シャバへもどってくる。


生活保護を申請し、まずは運転の仕事を、とおもうが、刑務所にいるうち免許は失効していた。


免許センターで「一発挑戦」を試みるが、うまくいかない。


テレビ・ディレクターの津乃田(仲野太賀)とプロデューサーの吉澤(長澤まさみは、三上が社会復帰していくまでのドキュメンタリーを撮ろうと取材しているが、サラリーマンに難癖つけて脅している男たちを目撃すると、ほおっておけず、ボコボコに殴ってしまう。


三上のいくところに、トラブルがつきまとう。


いまの社会は、困っているひとを見ても、見て見ぬふりをしなければ平穏な暮らしは保てない、ということが三上にはわからない。テレビが求めるような素材に適合しないので、津乃田と吉澤はいったん三上を素材にしたドキュメンタリーの製作をあきらめる。


しかし、自身もテレビ業界の仕事にいきづまっていた津乃田は、生きることに不器用だがまっすぐな性格の三上に魅かれていく。 彼は、もの書きとしてなお三上を追っていく。



それからも、刑期をおえたひとが社会生活にもどることのむずかしさに、なんどか三上は先への方向を見失いそうになる。


しかし、、、


庄司夫妻(橋爪功、梶井芽衣子)コンビニ経営者・松本(六角精児)生活保護の申請を受けつけ、その後は三上の監察役として接する井口(北村有起哉、そしてもの書きの津乃田(仲野太賀)‥‥そういったひとたちが、この世の中、そう捨てたものじゃないぞ‥‥って、希望をわたしたちに与えてくれる。


三上は無事就職し、社会に復帰していくのか?


わたしは、この映画は安価なヒューマニズムに陥っていないと見たけれど、みなさんはどうだろうか。


その危険性を、西川美和監督は、もちろん計算にいれている。


刑期をおえて出所したひとへの差別の眼も表現されていた。生活保護への偏見も根強い。主人公の三上自身が、そうだ。



役者が、みんなよかった。


役所広司はもちろん、仲野太賀、コンビニ経営者役の六角精児(さりげなく熱い役だ!)、庄司夫妻(橋爪功、梶井芽衣)、北村有起哉も。


寡作な西川美和監督。監督作品としては、2016年の永い言い訳以来。わたしは、西川美和監督の映画のテンポとか、楽観も悲観もしない目線とかが好き。


満足して、映画館を出る。



帰りは、運転する妻と「若葉ウォーク」の回転寿司で遅いお昼。わたしは生ビールを2杯飲む。