10月16日(土)。
「イオンシネマ板橋」へ、司馬遼太郎原作・原田眞人監督『燃えよ剣』を見にいく。
わたしはちいさなころ、映画『鞍馬天狗』(主演は、アラカンこと嵐寛寿郎)が好きだったので、新しい日本を創ろうとする長州藩や薩摩藩など勤王の志士が「善」で、新撰組は「悪」だとおもっていた。
さすがに幕末のことがうっすらわかってくるとそんな単純なことではない、と認識をあらためたが、ちいさなころに吸収したものの見方は感覚のどこかに残っていた。
新撰組は、新しい日本の夜明けを邪魔する、乱暴者の集団であると。
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『燃えよ剣』は、土方歳三(岡田准一)や近藤勇(鈴木亮平)など、新撰組の側から江戸の終末を描いている。
観客は、やがて時代の変遷のなかで滅びていく新撰組の命運を知りながら、スジを追っている。
いくら短期戦で勝っても、最後は敗れてしまう歴史の事実。だから新撰組の終わりは、はかない。江戸幕府にとっては、使い捨ての用心棒集団。
江戸文化の衰退にこころを寄せ、粗暴で威張り腐る明治の勝ち組を嫌ったのは、永井荷風。すべてが横暴で下品になってしまった、と荷風は明治維新に背を向ける。
江戸文化の粋な花街として繁栄していた「柳橋」は、明治維新後、次第に遊び方も知らない官僚たちが集まる新興の遊び場「新橋」にとってかわられる。もちろん、荷風は「柳橋」を好んだ。
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岡田准一の出る時代劇は好き。おもしろい。原田眞人監督との相性もよさそう。
チャンバラがすごい。
むかしの東映時代劇は、チャンバラは美しく舞う様式美だったが、それを黒澤明が、バサッバサッと刀が人を斬る効果音をいれることで破った。
黒澤は『用心棒』で、二つに分かれた勢力が集団で戦うとき、みんな死の恐怖から腰を後ろに引き、闇雲に刀だけを前に出し、それをデタラメにふりまわす無様な決闘シーンを描いた。
東映時代劇に飽きてきたわたしは、黒澤明のリアル時代劇に夢中になった。
しかし、岡田准一のチャンバラはそれともちがうような気がする。チャンバラの形の美しさを復活させながら、刃(やいば)と刃(やいば)がぶつかる金属音と、飛び散る火花を描いて観客を魅了する。
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帰り、川越駅で妻と待ち合わせていたので、寄り道をしないで電車にのる。
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合言葉:
比例はれいわ!