かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

現代の戦意高揚映画? 〜 小泉堯史監督、役所広司主演『峠 最後のサムライ』(6月19日)。





6月19日(日)。晴れ。
「ウニクス南古谷」へ、妻と、小泉堯史監督の『峠 最後のサムライ』を見にいく。





幕末の動乱期を描いた司馬遼太郎の長編時代小説「峠」を、「雨あがる」「蜩ノ記」の小泉堯史監督のメガホン、役所広司松たか子田中泯香川京子佐々木蔵之介仲代達矢ら日本映画界を代表する豪華キャストの共演で映画化。




(「映画.com」より)




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細かなところをどうとかいう前に、登場人物がどれも立派で、教訓的な言葉が次々出てくる。


戦前・戦中に次々作られた「戦意高揚映画」を連想してしまう。わたしは戦後生まれだからリアルタイムで、その手の映画を見たわけではない。


しかし、国家に命を捧げる軍人たち、それを支える貞淑な妻、忠誠を尽くす部下たち・・・を描いた「戦意高揚映画」は、映画がどのように国家に奉仕したのか、という興味から何本かは見ている。


小泉堯史監督は、黒澤明監督の助監督をつとめていた。黒澤監督が死去し、遺された脚本から映画『雨あがる」(2000年公開)を製作し、監督デビューした。


『雨あがる』は、勇猛果敢な黒澤映画ではなく、晩年の黒澤らしい脱力した時代劇で、わたしはこの作品が好きだったし、それからの小泉堯史作品も、どこかに「反・勇猛果敢」主義みたいなところがあって好感をもっていた。


司馬遼太郎の原作も、少しだけ読み始めたが、途中で映画が公開されたので、まずは先に映画を、とおもい、見にいったが、続きを読むのが面倒になった。


現政権(自民・公明・維新・国民)
が、戦争のできる国にしようとするときに、死を恐れないリーダーの勇気と、部下たちの全滅覚悟の忠義を描いた映画なんて、気色が悪すぎる。



帰り、妻にその感想をいい、「で、きみはどうだった」ときくと、「わたしはおもしろかったけどね」という。最近のパターンだ(笑)。