12月15日、水曜日。
「イオンシネマ板橋」へ、14時35分から上映の、前田哲監督、永野芽郁主演『そして、バトンは渡された』を見にいく。
血の繋がらない親に育てられ、4回も苗字が変わった森宮優子は、わけあって料理上手な義理の父親、森宮さんと2人暮らし。今は卒業式に向けピアノを猛特訓中。将来のこと、恋のこと、友達のこと、うまくいかないことばかり…。
一方、梨花は、何度も夫を替えながら自由奔放に生きている魔性の女。泣き虫な娘のみぃたんに目いっぱい愛情を注いで暮らしているようだったが、ある日突然、愛娘を残して姿を消してしまった。
(公式サイトより)
https://wwws.warnerbros.co.jp/soshitebaton-movie/introduction_story/
血がつながっていても、いなくても、めいっぱいの愛情をそそいでくれる義理の母や父たちがいる、そんなメルフェン映画。悪人が登場しない。
原作は、瀬尾まいこ。原作を読まないで、映画を見た。
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泣き虫「みぃたん」は、ちいさなときに、母と死別をし、父とも生別することになってしまったが、新しい母(石原さとみ)は、「みぃたん」にせいいっぱいの愛情を注いでくれる。
しかし、その愛情の方法が独特。
「みぃたん」がピアノを習いたいというと、屋敷にピアノのあるお金持ちと再婚して、みいたんにピアノを習わしてくれる。生活に不足なものがあると、それを満たしてくれる男性を手にいれる魔性の女だが、実はそれにはわけがあった、というのがあとの話。
「みぃたん」は、高校生になると森宮さん(田中圭)というやさしい義理の父とふたりで暮らしている。「みぃたん」の本当の名前は、優子(永野芽郁)。いまは森宮優子。
料理好きな森宮さんとの生活を、優子はたのしんでいる。当面の悩みは、卒業式の合唱で、ピアノを担当。うまく弾けるか自信がない。
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継母の梨花さん(石原さとみ)は、水戸さん(大森南朋)、泉ヶ原さん(市村正親)、森宮さん(田中圭)という3人の「おとうさん」を優子に残して、突然姿を消してしまう。
登場人物は、みな善意のひと。梨花さんの裏切りを憎んでいる男性はいない。だから、愛憎のもつれもない。
とにかく主演の永野芽郁が可愛い。以前、山田洋次監督の『キネマの神様』のときも、可愛い女優だなあ、とおもったが・・・。今回惚れ惚れした(笑)。
わたしの場合は、女優の好みでその映画の好き嫌いが左右されるので、評価の客観性がない。
『そして、バトンを渡された』という映画を支えているのは、永野芽郁という女優の愛らしさ。彼女を見ているだけで、あったかい気持ちになる。
ただ、後半は泣かせ映画になってしまう。
以前見た和島香太郎監督、加賀まりこ主演の『梅切らぬバカ』は、「湯加減がちょうどいい」と書いたけれども、この映画の終盤は、これでもかこれでもかと泣かせ場面をもってくるので、わたしは「ちょっとカンベンして」といいたくなった。
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終わってから、近所でよくいく居酒屋へいってみると、表に「予約貸し切り」の札が出ていた。
もう一軒のほうへ回る。
ここは、「緊急事態宣言」のときにも営業していたので、お世話になった居酒屋。黒ホッピーとやきとりを注文して、川本三郎著『君のいない食卓』の続きを読む。
もともとひとり旅が好きな川本三郎さんだったが、2008年に奥さんを失ってから、いっそう旅に出ることが多くなったという。旅先で出会った食べ物について語りながら、「君」(奥さん)と過ごした些細な日常(食べ物の記憶)が綴られている。