かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

『マッカートニー 3,2,1』を見た!(見てから時間が経ってしまいましたが、大雑把な感想を)

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リック・ルービン(左)とポール・マッカートニー





www.youtube.com



1話が30分で、6話にわたるポール・マッカートニーの音楽談話。おもしろかった。内容の詳細は、Alaokaさんが書かれているので、最後にそちらへのリンクを貼っておきます。わたしは、映像を見た印象をちょっとだけ(Alaokaさん、すみません)。


ポール・マッカートニー、79歳。もうカッコいいわ。


いつだったか、70歳代のポール・マッカートニーが来日したとき、成田空港で出迎えた若い女性ファンたちが歓声をあげているのを見て、ニュースの司会者だかコメンテーターだかが、「ポール、もう若くない年齢でしょ、なのに、こんな若い子たちからキャアキャアいわれるなんてうらやましですね(笑)」といっているのを見て、「そうだよなあ、でもそれが不思議じゃないんだよなあ」と、おもったことを記憶している。


自分たちで作曲して、自分たちで演奏して、自分たちで歌う・・・こういうスタイルを一般的にしたのはビートルズ。4人いれば、大勢の楽団の力を借りなくても、自分たちの歌を自分たちだけでステージで演奏できることを教えてくれた。


その手軽さが若者を刺激して、1960年代半ば、若者の第一期バンド・ブームが起こった。


日本では、演奏だけのベンチャーズもすごい人気だったが、編成だけ見れば、、、


リード・ギター、リズム・ギター、ベース、ドラムの4人組でビートルズと同じ。これだけでロックンロールを演奏できてしまう。魅力的な発見だった。若いひとたちは、こぞってエレキ・ギターやドラムを練習してバンドをつくった。


しかし、それを大人たちは危惧した。


ビートルズやテケテケテケのエレキ・ギターは、少年を不良にする!」という意味不明の攻撃をしかけてきた。


わたしの中学校は全員坊主頭だったので(いまわしいブラック校則め!)、早く高校へいって髪をのばしたいと祈願していたが、せっかく高校へいっても「髪が長い。耳をちゃんと出せ!」、「あいつらの真似か」といわれて、怒られた。


ビートルズのようなおかっぱ頭にするのは容易ではなかった時代。学校が嫌いだった。



79歳のポール・マッカートニーは、そのころよりも長い髪をしている。それがよく似合う。


そもそもロックのロング・ヘアーはビートルズからはじまっている


ビートルズがなかったら、ハード・ロックヘビー・メタルのミュージシャンはどういうヘアー・スタイルで登場したろう(笑)。


いや、その前に、そもそもビートルズがなかったら、60年代以降の多様化したロックが存在したかどうか。ハード・ロックもヘビー・メタルも誕生しなかったかもしれない。


ダニー・ボイル監督の映画『イエスタデイ』で、ビートルズのいない世界では、オアシスというバンド(ビートルズからの影響が強い)が存在しないことになっていたが、そもそも多くのロック・バンドが存在していたかどうか。


例えば、ビートルズのあとに登場したローリング・ストーンズ。彼らも、ロンドンのマニアックなライブ・ハウスで、ブルースやロックンロールのカバー演奏を聴かせる人気バンドで終わったかもしれない。ストーンズも、ビートルズが全英・全米へ続く、成功の突破口をあけたあとに、続いた。


ビートルズという自分たちで作曲も演奏も歌もやってしまう突然変異が登場しなければ(ビートルズが好きだったアメリカのブラック系ミュージシャンは、自作自演が当たり前だったが、彼らはマイナーな存在だった)、若者に流行を届ける音楽業界は、見てくれのいい、御し易いシンガーを、いまも追いかけていたかもしれない。


ビートルズ革命は、1963年にはイギリスからヨーロッパに飛び火し、1964年にはアメリカに上陸し、日本も含めて世界中に拡大した。


その後もビートルズは、シングル、アルバムを発表していくごとに進化していく。変貌していく。1966年ころからは、ロック・バンドというよりは、音楽の実験的創作集団になる。


音楽は何をどこまで表現できるのか、その可能性の成果を次々シングルやアルバムとして発表し、わたしたちに衝撃を与え続けた。


ビートルズの実験精神は、映画や絵画や写真にも影響を与える。


ロンドンを中心にして、新しいアートが登場。彼らは、既成の権威にこだわらず、自由におもうままを表現した。「スウィンギング・ロンドン」といわれた若者文化の時代。その根本には、ビートルズがいた。



前置きが長くなったが(笑)、その若者文化の先頭に立っていたひとりが、ポール・マッカートニー


その彼が、自分や自分たちが創った音楽について、作曲について、演奏について、サウンド実験のツボについて、プロデューサー(リック・ルービン)相手に語っているのが『マッカートニー 3,2,1』


他の演奏を消音にして、その曲のポールのベースだけを聴いたり、リンゴのドラムだけを聴いたりして、サウンドの核心に迫っていく。


ポール・マッカートニーから自作のツボを聞く、贅沢な3時間をすごせた。




Alaokaさんのブログ(映像の予習ができます)。

第1話
https://www.aiaoko.com/entry/pm123


第2話
https://www.aiaoko.com/entry/pm2%26


第3話
https://www.aiaoko.com/entry/pm3%26


第4話
https://www.aiaoko.com/entry/pm5%26


第5話
https://www.aiaoko.com/entry/pm4%26


第6話
https://www.aiaoko.com/entry/pm6%26

Alaokaさん、詳細な感想(=解説)、ありがとうございました。