2月11日(金)、晴れ。
はじめて「TOHOシネマららぽーと富士見」へ、岸善幸監督、有村架純主演の『前科者』を見にいく。
川越の家からクルマで30分くらいのところ。
早めに着いたのでチケットを発券して、妻とそれぞれに分け、いったん別れる。わたしは、空いている椅子があったので、30分ほど読書。
上原義広著『最も危険な政治家 橋下徹研究 孤独なポピュリストの原点』(新潮45eBooklet)を読む。
短い本なのですぐ読めた。
極道の父とおじを持った橋下徹の少年時代はかなり悲惨なものだった。彼は父からDVを受けていたとも書かれている。
その厳しい環境のなかで、人を信用せず、身近な者や社会に、救いを求めることもなく、彼は自分の才覚で成功していく。
橋下徹は「二〇〇八年二月、圧倒的な支持を得て三八歳にして大阪府知事についた」。そして「大阪維新の会」を結成する。
この本のなかに引用されている橋下徹の「政治家観』におどろく。なるほど橋下徹らしい、とおもった。
彼の原点が見えるので孫引用します。
政治家はとかく「ウソは嫌いだ」なんて連呼しやがるけど、選挙のときの有権者向けの笑顔が、ウソ丸出しなんだよ! なんで「国民のために、お国のために」なんてケツの穴がかゆくなるようなことばかりいうんだ? 政治家を志すっちゅうのは、権力欲、名誉欲の最高峰だよ。自分の権力欲、名誉欲を達成する手段として、嫌々国民のため、お国のために奉仕しなければならないわけよ。別に政治家を志す動機づけが権力欲や名誉欲でもいいじゃないか! よほど人生の成功を収めた余裕がある人じゃないと真に他人のことなど考えてられない。ウソをつけない奴は政治家と弁護士にはなれないよ! ウソつきは政治家と弁護士の始まりなのっ!
こういう「政治家観」をもつ橋下徹には、「れいわ新選組」など偽善者の集まりにしか見えないだろう。
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11時55分より『前科者』上映開始。
保護司を始めて3年となる阿川佳代は、この仕事にやりがいを感じ、さまざまな前科者のために奔走する日々を送っていた。彼女が担当する物静かな前科者の工藤誠は順調な更生生活を送り、佳代も誠が社会人として自立する日を楽しみにしていた。そんな誠が忽然と姿を消し、ふたたび警察に追われる身となってしまう。一方その頃、連続殺人事件が発生する。
(「映画.comより)
https://eiga.com/movie/95031/
前日に、AmazonプライムのWOWOWドラマ版『前科者』(30分、全6話)を見た。
新米の保護司・佳代(有村架純)が、刑期を終えたひとたちの更生を手助けしようと奔走するものがたり。
第一話に登場するのが、恐喝・傷害罪で仮釈放となった斎藤みどり(石橋静河)。
斎藤みどりはその後、佳代の友だちとして、全ドラマと、映画にも主要な脇役として登場する。
金髪で口は悪いが、そもそも賢くて、次第に佳代の理解者になるみどり役。ややぶっとんでいて、これまでの石橋静河の役柄とちがって新鮮!
石橋静河ファンのわたしにはおもいがけない「特典」だった。
ドラマ版『前科者』に登場する保護監察官・高松直治(北村有起哉)と、見るからにひとのいいコンビニ店長・松山友樹(宇野祥平)も、映画版にそのまま引き継がれる。
なので、Amazonプライムに契約しているひとは先にこれを見てから映画を見ると流れが理解しやすいかもしれない。しかし、いきなり映画でも全然問題なく見ることができる。
保護司は、刑期をおえたひとが更生するまでの手助けをする、という重要な役割を担うが、報酬は一切なし。つまり保護司は、善意にもどづいたボランティアだというのでおどろく。
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映画版では、刑期をおえ、保護司の佳代を訪ねてくるのは殺人の前科がある工藤誠(森田剛)。
工藤は物静かで、順調に更生に向かうが、ある日突然失踪してしまう。
森田剛はよかったが、あるシーンで鼻水を垂らすのはいや。演出かもしれないが、こういう熱演は好きでない。
映画版の出来はドラマ版を超えている。ドラマでは、ここまでこころを揺さぶられなかった。
身なりにかまわず保護司の仕事に奔走する阿川佳代を演じる有村架純は、ダサくって可愛い(笑)。
役者がみんなそれぞれの役に生きていて、期待以上によかった。
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映画のなかで牛丼を食べるシーンが再三出てくる。刑期をおえて訪ねてくるひとに、佳代は毎回牛丼をふるまう。
それを見ていて牛丼が食べたくなった。映画がおわったら牛丼を食べようとおもった。
そうしたら次に醤油ラーメンを食べるシーンが出てきた。おいしそうだ。もともとラーメンは大好きだし。
映画がおわったら、醤油ラーメンにしようと決心を変更する(笑)。