2月24日、木曜日。
「ヒューマントラスト有楽町」へ、犬童一心監督、田中泯主演の『名付けようのない踊り』を見にいく。
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世界的なダンサーとして活躍する田中泯の踊りと生き様を追ったドキュメンタリー。
1978年にパリでデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現してきた田中泯。ダンス歴は現在までに3000回を超え、2002年の「たそがれ清兵衛」から始まった映像作品への参加も、いまや日本のみならず、ハリウッド映画にも出演するまで広がっている。
40歳の時、畑仕事で作り上げた身体で踊ることを決めた田中は、74歳でポルトガル・サンタクルスの街角で踊り、「幸せだ」と語る。
どんなジャンルにも属さない田中泯のダンスを、「メゾン・ド・ヒミコ」から親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、山梨、福島などをめぐり撮影。アカデミー賞ノミネート作品「頭山」で知られる山村浩二によるアニメーションで描かれた田中の子ども時代の情感を交えながら、田中泯のぶれない生き方をひも解いていく。
(「映画.com」より。行あけは、読みやすさを考え、こちらでしました)
https://eiga.com/movie/95713/
説明のむずかしい映画なので、「映画.com」の説明と予告編でイメージしてもらうよりしかたがない。
田中泯の映画は、山田洋次監督の『たそがれ清兵衛』(2002年)を見たのが最初。忘れがたい存在感のある武士を演じていたので、名前と顔を憶えた。
最近では橋本一監督の『HOKUSAI』(2001年)。圧倒的な迫力で晩年の北斎を演じた。田中泯が登場すると、スクリーンが濃密な空間になってしまう。
尋常な存在感ではない。それで、もっとこのひとのことを知りたい、とおもって『名付けようのない踊り』を見にきた。
予告編を見てもらえばわかるように、これを踊りというのかどうかわからない。しかし、他に何かといってもタイトル通り「名付けよう」がない。
彼はどこでも「踊る」。パリの街角でも彼が踊り出すと人が集まってくる。
見たことのないふしぎなものを見ているような感覚だけれど、何か心に強烈に突き刺さってくるものがあって、目を離せない。この名付けようのない感動はなんだろう?
生き様が、そのまま表現になっている。
寝不足もあって、一瞬寝た。それがくやしい。
すぐに正気を取り直して田中泯の世界に没頭した。
『名付けようのない踊り』。ドンピシャのタイトルだとおもう。