映画『マヤの秘密』
3月9日、水曜日。
「新宿武蔵野館」へ、『マヤの秘密』(ユバル・アドラー監督)と『愛なのに』(脚本:今泉力哉、監督:城定秀夫)を見にいく。
上映館を検索していたら、「新宿武蔵野館」で、約50分くらいの差で同日2本見られることがわかった。寝てしまうのが心配なれども(笑)。
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ナチスから暴行を受けた過去を持ち、妄想と現実を行き来する悪夢に囚われた女性の姿を描いたサスペンス。
(「映画.comから)
ストーリーは、主人公のマヤが公園で偶然見つけた男が、戦時中、自分を暴行し、妹を射殺した男なのかどうか、それを明らかにしていくサスペンス映画。
いまだに悪夢で思い出される恐ろしい過去。その犯人が目の前にいる。しかし男は、自分はドイツ人ではなく、スイス人で、戦争にはいっていない。ひと違いだ、と叫ぶ。
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マヤを演じたノオミ・ラパスの鬼気迫る表情の変化がすごい。復讐の相手を捕まえたよろこびとと憎しみに、狂気が燃えさかっていく。
監禁された男は、戦争には関係のないスイス人なのか、それとも、あのとき集団暴行に加担したナチス兵なのか?
一応ナチス映画に設定されているけれど、映画をみる限りナチスでなくても成立する。「ナチス」の必然性は感じられない。
例えば、家に強盗が押し入り、家族を殺害し、自分を暴行して逃げたのに、警察が犯人を見つけられず未解決のままになる。そしてそれから、十数年後に公園でその男らしきものを見つけて・・・でも話は成立する。
ナチスと設定すると、あらかじめわたしたちの頭に残虐性がインプットされているので、少しの描写で「凄惨な過去」の説明がつく。なんか「またナチスか」という気がしないでもない。
サスペンス映画としてはおもしろかった。密室劇のような緊迫感がすごい。
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映画『愛なのに』。
「新宿武蔵野館」のロビーにすわって、次の映画上映まで、山本文緒の『眠れるラプンツェル』を読む。
12時45分から、今泉力哉脚本、城定秀夫監督『愛なのに』を見る。
www.youtube.com
映画『愛なのに』。
「性の劇薬」「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫が監督、「愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉が脚本を務め、瀬戸康史の主演で一方通行の恋愛が交差するさまを描いたラブコメディ。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/95246/
古本屋の店主・多田(瀬戸康史)は、女子高生の岬(河合優実)から唐突に「結婚してください」といわれる。かわいい女子高生だから、いやな気はしないが、「はい」ともいいがたい。
岬は、ボーイフレンドになりたい、という男子学生に、多田を見せにくる。「好きなのはこのひと」と、男子生徒にいう。男子生徒は、高校生を誘惑するな、と怒る。
多田は、キツネにつままれたような感じだ。
その多田は、一花(いっか=さとうほなみ)が好きだったが、彼女は亮介(中島歩)というエリート青年とまもなく結婚する予定。
一方、亮介は、その結婚のウエディングプランナーの美樹(向里祐香)と浮気している。
亮介の浮気が発覚した(相手が美樹だとはわかっていない)腹いせに、岬は、自分を好きだといっていた古書店の店主・多田を誘惑して関係をもつ。
ところが、岬は多田と関係すると、婚約者の亮介より快い。
ふと、亮介が「下手」なのではないか、と疑いをもつ。ウエディングプランナー・美樹(亮介の浮気相手)に相談すると、そんな婚約者なら結婚しないほうがいい、あとで後悔するより、いまなら間に合う、と岬に、親切な(?)アドバイスする。
次の会話が可笑しい。
亮介は、婚約者の岬からそれとなく「下手」をほのめかされてへこみ、浮気相手の美樹に、相談する(会話は、正確ではない)。
「おれって、下手なのかな?」と亮介が聞く。
すると美樹が、、、
「下手だよ・・・すごく下手。群を抜いて下手」と、あっさり答える。
「群を抜いて下手」がいい。客席から笑いがおこる。
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「R15+指定のラブストーリー映画」ということで、艶笑落語のような趣きがある。
古書店の店主と可愛い女子高生の恋のゆくえ。これは清純なラブストーリー。
結婚前に、夫になる男の「下手」を知った女性の戸惑いが描かれているが、深刻な苦悩までには至らない。
のんびりした間合いやおかしな会話は、今泉力哉監督『街の上で』のふんいきがある。わたしはこの味わいが好きだ。
女子高生を演じた河合優実が可愛かった。
スジだけ聞いても、なんだかわからないかもしれないが、たのしい映画だ(笑)。
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なお、3月18日から、今泉力哉監督(城定秀夫・今泉力哉共同脚本)の『猫が逃げた』が公開される。こちらも、たのしみ。見にいくぞ!
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帰り、立飲み「春田屋」へ寄ってみる。いつになく混んでいた。まずは黒ホッピーから。感じのいい外国人はいなかった。