映画を見たのが4月6日だから、もう20日も日がたってしまった。でも、忘れてしまわないように、記録しておこう。
劇場は新宿の「K’Sシネマ」。原作は、黒井千次の短編。そしてモノクロ映画だ。このところ、モノクロ映画が続いている。
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「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」の小谷忠典監督が、武蔵野大学・武蔵野文学館協力のもと、作家・黒井千次の短編集をもとにモノクロ映像で撮りあげた長編劇映画。小雨の降る秋の日に、寺の境内を歩く女子大生ひな子。毎年、母の命日には父と墓参りに来ていたが、今年はひとりきりだった。
(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/96406/
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もう上映がおわってしまった映画館が多いとおもえば、時期ハズレの記事。でも、見た映画も時間が経つと忘れてしまうので、書いておきます。
静かでイメージ・フィルムのような小品。わたしはこういうタッチの作品が好きだ。だからスジらしいスジがないのに、映画の世界にスーッとはいれた。
父(古舘寛治)から、飛行機が欠航して、ひな子(渡邊雛子)と一緒にいくはずだったお母さんの墓参りに間に合わない、という連絡がある。ひな子は、ひとりで墓参りにいくが、そこに誰なのか、コスモスの花が供えられていた。
母は、ひな子と父しか身寄りがないはずなので、花の主が誰か気になる・・・そういうぼんやりしたストーリー。でも、こういう短編映画は、起承転結などなくていい。
主役のひな子を、渡邊雛子。お父さんを、古舘寛治(ふるたち・かんじ)。
渡邊雛子は、等身大の女子大生を演じていて、よかった。映画初出演だという。ずっと不機嫌な表情をしている。それが自然で、作品の基調になっている。
古舘寛治は、わたしのなかで注目の俳優。声がいい。ナレーションなどでも、このひとの声はすぐわかる。
深田晃司監督の、浅野忠信が不気味だった作品『淵に立つ』(2016年)での、過去に何かいわくがありそうな工場のおやじ役が印象に残っている。
妻(筒井真理子)は、最初素性のわからない人といっしょに暮らすのをいやがるが、寡黙な浅野忠信に次第に惹かれていく。
映画『淵に立つ』は、浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子・・・3人の、いまにも崩れそうな危うい関係を描いた秀作だった。
ただし、『たまらん坂』のほうは、古舘寛治の出演シーンは少ない。
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帰り、立飲み「春田屋」へ寄る。