かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

誰の話が真実なのか?〜是枝裕和監督『怪物』を見る(6月4日)。




6月4日㈰。台風明け。
金曜日、土曜日と天気が悪かったので(台風がらみ)、日曜日を待って、「ウニクス南古谷」へ、是枝裕和監督の『怪物』を見にいく(妻、同行)。


脚本:坂元裕二、音楽:坂本龍一との豪華コラボで公開前から話題になっていた。


しかもカンヌ国際映画祭坂元裕二脚本賞を受賞して、さらに期待が増した。




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小学生の湊(黒川想矢)が、学校から傷をつくって帰ってくる。担任教師(永山瑛太)の暴力が原因のようだ。


「お前の脳は、豚の脳だ」ともいわれた、という。


湊の母・早織(安藤サクラ)が、学校へ事実関係を調べるよう抗議にいくが、学校は型通り謝るだけで、調査をする様子はない。


しかも、担任教師は「おれがなんであやまなければならないのだ」という不遜な顔をしながら、形だけ頭を下げている。


そして逆に、担任教師は、湊がある生徒をいじめている、という。


誰の話が真実なのか? 



黒澤明監督『羅生門』(1950年)を思い出した(原作は、芥川龍之介の短編『藪の中』)。


時代は平安時代。京へ向かう新婚夫婦が、山中で盗賊に襲われる。


盗賊は、男を殺し、女を襲う。


検非違使(けんびいし)がこの事件を調査するが、盗賊、襲われた女、殺された男(巫女の口を借りて)の証言がすべてくいちがう。


この『羅生門』を連想した。


でも、『羅生門』ほど、はっきりと話し手が分かれて語られるわけではない。


ストーリーは後半になると、『羅生門』色は薄れて、湊と依里というふたりの少年の関係に集約していく。


ホラー・タッチの奇妙な味は、脚本家・坂元裕二氏の効果なのだろうか。わたしが坂元裕二作品をあまり見てないので。


公開されたばかりなので、詳しく書かないけれど、永山瑛太がひとりの教師の「ふたつの顔」を演じ分ける。



遅い昼食か早い夕飯か、中途半端な時間だけど、腹が減ったので「焼肉屋」へいく。わたしは、黒ホッピーを飲みながらカルビを焼く。