かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

「ビートルズの新曲」についての周辺事情を整理してみると…。




しばらく前に、AIを使ってビートルズの新曲が発表される、という第一報が届いた。


「なんのこっちゃ?」


それ以上の興味が湧かなかった。


すでに「みのミュージック」というインターネット・チャンネルでは、AIにビートルズの新曲をつくらせたらどういうものができるか、というのを「公募?」して、何曲かを放送した。


なるほどそれらしいのもあるし、なんだか気持ち悪いなあ、というのもあった。この手のものを改まって「ビートルズの新曲」として発表されても意味を感じないし、むしろ「やめてくれ!」というのが率直な感想だった。



その後、ポール・マッカートニーが、ビートルズの新曲として発表するのはAIが創ったものではない、わたしたちが、実際に演奏している……と発表。


ただ、ジョンの声が、1970年代に家庭用レコーダーにピアノを弾きながら録音したもので、鮮明でない。そのジョンの声をクリアに抽出するためにAIを利用した、そんな発言をした。



1994年〜1995年にかけて『ビートルズ・アンソロジー』という2枚組CDが3セット発売された。


ビートルズの未発表曲・別テイクの録音を集めたかなりマニアックなもの。その多くは、これまで海賊盤として出回っていたものも多かったけれど、はじめて聴く録音もあった。


そしてビートルズは(というよりポールとジョージとリンゴは)、ジョンが残した録音テープをオノ・ヨーコからもらい、それに3人の新しい演奏を加えて、『アンソロジー』に花を添えようとした。


実際、『ビートルズ・アンソロジー①』には、新曲「フリー・アズ・ア・バード」が、『ビートルズ・アンソロジー②』には、新曲「リアル・ラブ」が収録された。


が、『ビートルズ・アンソロジー③』には、新曲がなかった。


ビートルズの新曲が2曲発表されただけでも十分うれしかったので、さびしくは感じなかったけれど、オノ・ヨーコはもう1本「ナウ・アンド・ゼン」という曲のテープも3人に渡していた。


ポールとジョージとリンゴは、「ナウ・アンド・ゼン」を『アンソロジー③』の巻頭曲にしようとして取り組んだが、おもったように仕上がらず、途中で断念した(ジョージが「ダメ出し」をした、とも聞いているが?)。


今、曲の完成にいちばん否定的だった「ダメ出しジョージ」(笑)はいない。判断は、ポールとリンゴに委ねられている。



その「ナウ・アンド・ゼン」に、ポールとリンゴが新たな演奏を加え、ジョンの声をくぐもった録音からAIを使って抽出したのが年内発表される「新曲」ではないか、というのがもっぱらのウワサだ。


2023年7月7日に83歳のバースディを迎えたリンゴ・スターが、「ジョージは参加してないの?」という質問に、「ジョージもはいっている。これが4人が参加したビートルズ最後の曲になるとおもう」と答えている。


ビートルズ最後の新曲……この言葉の響き、うれしいような怖いような、でもワクワクするな、やっぱりさ。





ビートルズ・アンソロジー』(1995年)のとき演奏された未完成の「ナウ・アンド・ゼン」。これがどう仕上がるのか? まっさらの状態で「新曲」を聴きたい方は無視して!
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