11月22日㈬。晴れ。
ひさしぶり「ポレポレ東中野」へ、前田亜紀監督のドキュメンタリー映画『NO選挙、NO LIFE』を見にいく。前回映画館のある側と反対口に降りたので、今回は注意して東中野駅西口で降りた。
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「選挙取材歴25年のフリーランスライター・畠山理仁の情熱と苦悩に迫ったドキュメンタリー」(「映画.com」)。
畠山理仁(はたけやま・みちよし)氏は、選挙がはじまると、全部の立候補者を公平に取材する希少なジャーナリスト。
走って走って立候補者の後を追う。そして、カメラも彼の後を追う。
泡沫候補(一般にはそう呼ばれるが、彼は「無頼系候補」という言い方をする)の主張や街宣は、テレビではほとんど放送されない。放送されても、ほんの一瞬サッと流れるだけ。
超能力者を自認するひと、スーパーマンの衣装で登場するひと、立候補者はみな真面目だ。
全員が、同じように高い供託金を払って立候補している。いってみれば、ひとりひとりが、ふしぎな情熱に駆られ、孤軍奮闘し、自分の「想い」に、生活や人生を賭けている。
畠山氏は、「自分と似ている」とおもう。
だから、どの候補者にも敬意を表して、取材する。全員にチャンスを与えたい。
先入観と偏見をもたず話に耳を傾ければ、候補者たちの新しい顔が見えてくる。新鮮な発見がある。みんなユニークなのだ。畠山氏は、それを引き出す。
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You Tube番組に出演する畠山理仁(はたけやま・みちよし)氏の話はおもしろい。畠山氏の本もおもしろい。無味乾燥におもっていた選挙が俄然楽しくなってくる。もっと選挙の裏側をのぞいてみたくなる。畠山氏は、そういう選挙の魅力を教えてくれる。
それだけでなく、畠山氏自身のキャラクターにも独特な可笑しみがある。話しているのを見ていると、いつも笑っている。いま『NO選挙、NO LIFE』の上映で、畠山氏はYou Tubeのいくつかの番組に出演している。興味が湧いたら「畠山理仁」で検索してみてください。
忙しいわりに、お金を稼げない。原稿を書く時間も思うようにとれない。彼は選挙ライターのほかにも、本業とはまったく関係のないアルバイトをしているという。選挙のたびに、これが終わったらもう辞めよう、引退しようと、真剣に考えている。そう考える一方で、彼は全員の立候補者のあいだを駆け巡っている。
ドキュメンタリー映画『NO選挙、NO LIFE』の感想はひとことで言えば、「ああおもしろかった」。
見終わると、もっと畠山理仁(はたけやま・みちよし)氏のファンになっていた。できれば、引退しないで、多くのひとに選挙のおもしろさを伝えてほしいが、どうなのだろう。
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このまま新宿あたりへもどって居酒屋へ寄るには、まだ時間が早すぎる。どこか近くに散歩するようなところがないか、検索してみる。
中央線を下って荻窪駅近くに、大田黒公園(おおたぐろこうえん)というのがある。まだ行ったことがない。行ってみることにした。
荻窪駅を降りて、ネットの地図を見ながら歩く。7〜8分くらいで大田黒公園に着いた。それほど広くない。紅葉もまだ。
ベンチにすわって池の鯉を見ながらぼんやりする。
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荻窪駅へもどるとき、午後3時から開店という居酒屋をみつけた。携帯の時計をみると、幸いに3時を過ぎていた。中へ入るとまだ他の客がいない。
「ひとりですが、いいですか?」と聞くと、「はい、どうぞ」といわれた。