かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

西武園ゆうえんち(昭和の商店街) 〜 村山由佳『放蕩記』(3月5日)。


怖かった「夕陽館」の「ゴジラ・ザ・ライド」。




3月3日は妻の誕生日。娘の家へ夕飯に呼ばれて、双子たちとケーキを食べてきたらしい。そこで、3月5日にみんなで「西武園ゆうえんち」へ行くことを決めてきた。




3月5日㈰。曇り時々晴れ。
6人乗りのクルマ(娘・その夫・ユーカ・ミミ・わたしたち夫婦)で、西武園ゆうえんちへいく。娘の夫・ヒデさんが往復運転してくれた。


渋滞を警戒して、早めに出たら、9時15分に到着。開園は、10時。ユーカとミミと妻は、据え置きになっている電車に乗ったり降りたりして遊んでいた。


娘とヒデさんは、チケットを買いに行き、昭和のお金に両替をしてくる。


午前10時。チケットのQRコードをかざして中へはいる。


入場先には、昭和30年代頃の商店街が続いている。音楽も、そのころのものがかかっている。








青い山脈がかかったので、「この曲知ってる?」と娘に聞いたら、「知ってる」といった。


介護施設でときどきかかっているらしい。娘は非正規で週3〜4日くらい施設で働いている。


ちびたちは、元気だった。少しもジッとしてない。


あらかじめ行きたいところをチェックしていたみたいで、そこへ向かって走っていく。それへ、娘とヒデさんが追いかける。妻とわたしは、それぞれに昭和のお店を見て歩く。


ちんどんやが来たので、わたしはその後を追った。ちんどんやにあわせて、「おまわりさん」や「朝日湯」(銭湯)の「おかみさん」が陽気に踊っている。


レコード屋さんの前では、元気なお姉さんが「東京ブキウギ」(笠置シズコ)を踊りながら歌っているし、金物屋さんは、金物をドラムのようにして叩きながら、達者に口上をいっている。


街頭テレビでは、白い仔ぐまが5人手をつないで踊る「文明堂」のCMをやっていたり、皇太子と美智子妃の結婚式や新幹線開通のニュースなどが流れている。


テッテーテキなサービス精神が「昭和の商店街」にあふれていた。


わたしは、「助六」という食堂のショー・ウィンドウに、懐かしきライス・カレー(カレー・ライスではない!)があったので、昼はこれを食べたい、と決めた。




左手前が「助六」食堂。



ここの一番のウリは、「夕陽館」




「夕陽館」へ向かう。




ゴジラキング・ギドラが闘う街のなかを、乗り物で脱走するーーそういう遊戯施設だというので(実際は乗ってみないとよくわからなかった)、みんなで乗ろうということになったが、ユーカは怖いから乗らない、という。以前どこかの遊園地で怖い乗り物に乗ってコリてしまったのだ、という。


ユーカをムリに乗せなくてよかった。


ゴジラとキング・ギドラが街を破壊する中を、椅子にすわったまま走りぬける(実際は座席は、その場を動いていないが、そう錯覚させる)。その臨場感がすごい! 




この中を乗り物で走り抜ける。




座席はガタガタ揺れる。バックもする。落下していく(椅子の揺れ以外は錯覚)。


ゴジラキング・ギドラに衝突する。ゴジラのしっぽ、ギドラの長い首や大きな口が目前に迫ってくる。破壊された瓦礫がこっちへ向かって飛んでくる。そのたびになんども目をつむった。


終わったときはヘトヘトだった。妻は途中からずっと目をつむっていた、といった。ミミが泣き出さないのがふしぎだった。


娘だけが、おもしろかったといった。ひとりシレッとしている。


ヒデがユーカと残って留守番をしていたので、あとから乗る。娘はヒデが乗るときに、もう一度わたしも乗る、という。


ミミと妻とわたしは、もう腹いっぱいだった(笑)。



そのあと、子供たちは、遊園地で遊んだ。妻とわたしは昼になったので、「助六」食堂へいってみたら、列ができていて、「45分待ち」の札が出ていた。


迷いながら並んでいたが、娘が焼きそばやおでんやビールを売っているところがあるよ、と呼びにきたので、ライス・カレーをあきらめ、「助六」の順番待ちから渋々離脱する。


子どもたちは、コーヒー・カップ、メリー・ゴーランド、射的、電車の運転などで次々遊んでいた(らしい)。妻は展望台をよろこんでいた。




「コーヒー・カップ」。





電車を自分で運転する(後ろ姿は、ユーカ)。





わたしは疲れてきたので、ベンチに座って、村山由佳『放蕩記』キンドル版)を読む。





幼少期からの母との葛藤(母の方は気づいてない)が詳細に描かれる。半自伝小説だという。


娘から見た、母の言動の独善性がとてもよく伝わってくる。こんな母に育てられたらたまらないだろう、と読みながら思う。母への愛憎(愛=20%、憎=80%)が、主人公の性癖(男性遍歴)にまで影響を及ぼしてくる。


作家というのはすごい。こういう人間の「業」を人前に晒す覚悟と才能がなければ、生半可でやれる職業ではない。


村山由佳の作品は、伊藤野枝を描いた『風よあらしよ』に次いで2冊目。根拠はないけれど、瀬戸内晴美長編小説『夏の流れ』を、むかし読んだときに感じた「すげえ!」という読後感を思い出す。


しかし、ゴジラとキング・ギドラが暴れまわる「ゴジラ・ザ・ライド」が、おもしろくてもしばらく乗りたくないように、この作家のものを続けて読むのはシンドイ。



午後3時半頃まで遊んで、帰路に向かう。少し早く出発したので、帰りも渋滞を避けられた。