記憶に長く残りそうな作品です。新鮮な感動を受けました。カンヌで、最年少の主演男優賞をとった柳楽優弥(やぎら・ゆうや)もよかったですけど、母がいなくなってもおおらかに生きていくすべての子役たちが生き生きとしてました。どうしたら子どもたちがあんな自然な表情を見せるんでしょうね。特別な事件が起こるわけでもないのに、スクリーンから目が離せません。
好きな男性ができて、子どもたちをおいていってしまう母を監督は道徳的に非難してないんですね。善悪を超えたところで、ただ自分の恋愛感情に正直な女性なんです。
子どもたちも母を恨んでなくて、生活は逼迫していっても、無邪気で楽しそうですらあります。この意外性がじわじわと見るものを惹きこんできます。ガーンと一発でノックアウトされる衝撃とは反対の感動です。
制作者の、できあいの社会通念に縛られない柔らかい感性が清々しい傑作だと思いました。このところ日本映画が面白い!【End】