かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

青山墓地にある志賀直哉の墓

志賀直哉仕事で青山へ出たので、志賀直哉の墓へ行ってみました。

これまでに2度訪問してますが、期間があいているのと、墓地は東西南北の風景に変化がないので、そばまで行きながら場所がわからず、一度引返したり、探すまでに時間がかかってしまいました。

直哉の墓の並びには、祖父志賀直道や祖母留女など志賀文学に縁の深い親族の墓石が並んでいます。すべて戒名ではなく本名なのは、志賀直哉に限らず、志賀家が代々無宗教だったからでしょうか。

「和解」という小説で、主人公順吉(直哉自身がモデル)が青山のこの墓地を訪ね、その時存命だった祖母のことを、地下の祖父に相談してみる、という場面があります。直哉自身の意識上の会話にはちがいないのですが、その時墓から聞こえてくる祖父の言葉は、直哉には客観的で、祖父の祖母への愛までも感じられた、と書いています。リアリスト志賀直哉の小説としては、異色な場面で印象に残ります。

志賀直哉の墓から、車が停めてある墓地の中央へ引返します。以前墓地に来たのはどのくらい前だったろうな、そんなことを思いながら墓地の中央に向かった道を歩いていると、木々で陰っているのか、日の落ちる時間になってきたのか、周囲が急に暗くなったような、少し寂しいような気持ちになってきました【END】