かぶとむし日記

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「キネマ旬報」最新号が高峰秀子の最新インタビューを掲載

今年は成瀬巳喜男監督の生誕100年記念、ということで名画座で特集が組まれたり、新たに石田朝也監督「記憶の現場」というドキュメンタリー映画が創られたり、いろいろな形で成瀬巳喜男という名前を目にしますね。成瀬映画で活躍された俳優さんなどが現場の様子などを興味深く証言しています。それはそれで興味深いのですが……、
わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)
ところが、成瀬映画の顔ともいえる高峰秀子だけは、一切マスコミに登場しません。「記憶の現場」という成瀬映画の現場をとらえたドキュメンタリーがどこかさびしいのはこの証言者のなかに高峰秀子の姿がなかったことでした。高峰秀子は現在も80歳を超えて元気で暮らしているのですから。

高峰秀子の自伝「わたしの渡世日記」を読んだものには、彼女が輝かしい自分の女優経歴すら、あまり話題にするのを好まない「風変わりな」元大スターだということはご存知だとおもいます。マスコミが高峰秀子の話をひきだそうとして「今年は成瀬巳喜男監督が生誕100年の年です。一言いかがでしょうか」とマイクを向けても、「それがどうしたんです。生誕50年でも100年でもわたしには関係ありません」といったとりつくしまもない対応らしいのです(笑)。
高峰秀子の捨てられない荷物 (文春文庫)
しかし斉藤明美が書いた高峰秀子の捨てられない荷物』(文春文庫)を読んだものは、この高峰秀子の無愛想さに大きな魅力を感じていはしまいか。この独特の無愛想さは、まさに高峰秀子という女優の生き方を知るキーワードでもあるようなのです。先にあげた2冊は、高峰秀子ファンだけでなく、成瀬巳喜男ファンにもぜひ読んでほしいとおもいます。

というところで最初に戻るのですが、本屋で立ち読みしていて、びっくりしました。その高峰秀子が「キネマ旬報」の最新号で斉藤明美氏のインタビューを受けているのです。斉藤氏が雑誌のなかでインタビューが実現するまでの経緯も紹介しておりますけど、とにかく型破りなインタビューです。そして、無愛想ななかにも、彼女独特の表現で語られる成瀬巳喜男監督への信頼と敬意が、ちょっと感動ものでもあります。これもあわせて読んでみてください。