かぶとむし日記

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DVDレンタルで、成瀬巳喜男監督『稲妻』を見る(12月27日)。

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12月27日、日曜日。


TSUTAYAのDVDレンタルで、ひさしぶりに成瀬巳喜男監督の『稲妻』(1952年)を、見る。



全員父親がちがう4姉妹と、その母の物語。


お金のない男は、甲斐性がなく軽んじられ、下品な男でも、お金のある男に、女はなびいていく。成瀬巳喜男の厳しいリアリズムがこの作品でも、全編を貫く。


都内観光のバスガイドをしている清子(高峰秀子)は、母や姉たちの欲望に愛想をつかして、世田谷の下宿に引っ越す。


そこは両国の、欲と欲がぶつかる自分の家とは別天地のように平穏な世界だった。


歴史を刻んだ東東京よりも、新しい西東京に清子は、安らぎを見出す。


漢字で書かれた看板が軒を連ねる両国の商店街と、一軒一軒が垣根で独立している世田谷住宅地の落ち着いた風景が、対照的に描かれる。


原作は、林芙美子成瀬巳喜男監督は、シビアに人間を描いても、映画の後味は悪くない。見終えたあとに、稲妻が去ったあとの清涼感が残る。


出演は、高峰秀子、三浦光子、村田知栄子、丸山修、浦辺粂子中北千枝子、小澤榮(のちの小沢栄太郎)など。


小沢榮演じる、スクーターに乗ってやってくる、お金がすべて、という男の俗物ぶりが秀逸。