10月29日に、飯田橋の佳作座で、アメリカ映画「さよなら、さよならハリウッド」とウルグアイ映画「ウイスキー」を見てきました。感想は、わたしのコンディションの問題もあって、1勝1敗(笑)。
■「さよなら、さよならハリウッド」(2002年アメリカ映画)
「笑い」って繊細だな、っておもいます。みんなが笑っていても、ちっとも可笑しくないこともあれば、みんな深刻に聞いているのに、可笑しくてしかたがない、ことがある。むかしむかし、修学旅行のとき、比叡山延暦寺で、黙祷してお坊さんの講和を聞いていたら、突然その状況が可笑しくてがまんできなくなりました。肩だけゆすって笑いを必死にたえていたら、後ろの奴に背中をちょんとつっつかれて噴き出してしまったことがあります。あまり恥ずかしかったので、あとがどうなったか記憶にない‥‥。
ウッディ・アレンの映画は、笑いと苦味がまじった独特の世界ですけど、ぼくはあまり記憶に残る作品というのがありません。先日見た「メリンダとメリンダ」も作為が過ぎて、監督の意図が空回りしているような印象しか受けませんでした。
しかし、「さよなら、さよならハリウッド」は、おもしろかった。
まずは、ストーリーですが、これはもう「ギンレイ通信」に頼るのが一番ですね(笑)。
過去にオスカーを受賞したことだけが支えの、今ではすっかり落ちぶれた映画監督。久々に舞い込んだ仕事のプロデューサーはなんと別れた元妻。プレッシャーで目が見えなくなり‥‥。ウディ・アレン自らのキャリアをネタにした自虐的ギャグ満載の爆笑コメディ!!(「ギンレイ通信Vol.84」)
ウッディ・アレンの変人監督ぶりが、楽しい。こういう主人公の役柄を演技しすぎると、シラけてしまったりしますが、まさにウディ・アレンは、そのまま彼が主人公なのかと、錯覚しそうなはまりぐあい。
落ち目の監督に大役を回してくれた妻への感謝と、他の男へ走った妻への嫉妬がまじったままの分裂した会話に、何度も笑わせてもらいました。「爆笑コメディ!!」です、たしかに。しかも、悪ふざけしてないのが、うれしい。
それにしても、目が見えなくなった監督が、それを隠して映画を1本撮ってしまう、というのは乱暴すぎないかな、とおもいますが、やっぱり、プロデューサーもスポンサーも頭を抱える駄作‥‥。ところが、ラストはウッディ・アレンらしいスパイスが効いています。なんと、ハリウッドでは惨敗だけれども、フランスで大絶賛!(笑)
ウッディ・アレンの主人公が最後にいいます。
「フランスがあってよかった」。
妻役のティア・レオーニ(右上写真参照)という女優さん、何度か映画では見ていますが、名前を今回はじめて意識しました。大人の清楚さ、賢明さを滲み出させることができる、魅力的な女優でした。
そして、もう1本。これが、、、
■ファン・パブロ・レベージャ監督「ウイスキー」(2004年ウルグアイ・アルゼンチン、ドイツ、スペイン映画)
「ギンレイ通信」では以下のように説明しています。
小さな靴下工場を経営するハコボは、久しぶりに帰国した羽振りのよい弟への見栄から、従業員のマルタに夫婦のふりをしてもらう。3人一緒の記念写真を撮る歳に「チーズ」ではなく「ウィスキー」と唱え‥‥。セリフが少ないにもかかわらず、人生の可笑しさ、哀しさ、そしてすばらしさをユーモラスに描くウルグアイから初お目見えの傑作映画!!(「ギンレイ通信Vol.84」)
どう? おもしろそうでしょ(笑)。少なくも、ぼくはこういう映画解説を見ると、「ちょっと、よさそうだなあ」と心が動いてしまいます。これはひょっとして「ウルグアイの成瀬巳喜男ではないだろうか」と思ったりして(笑)。
でも、淡々としているのはわかりますが、眠さを誘発することといったら‥‥「チーズ」を「バター」って間違えたのは寅さんだけど、どうもこちらは笑えない。可笑しさも哀しさも理解できぬまま、いつしか座席にもたれて眠ってしまいました。
見た方のご意見を聞きたい作品となりました。時間があれば、他の方のブログで探してみたいとおもっておりますが‥‥。