かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

サンキュー・スモーキング

ニック・ネイラーはタバコ業界を代表する凄腕のPRマン。「情報操作の王」の異名をとる彼は、高まる禁煙運動の弾丸を口八丁で煙に巻いているが……。善悪を超えたキャラたちが現代を斬るブラック・コメディ!!

(「ギンレイ通信」Vol.95より)

おもしろい!!

外国映画のコメディというのは、感覚があわないとしらけるばかりだけど、この映画はセリフの一言一言、笑ってしまいました。映画館のなかは、観客が声を出して笑いどおし。しかも、なんてスマートな笑いの感覚。

むかし、『ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!』を見て、こんな笑いの種類があるんだなあ、と可笑しくて可笑しくて、ぼくのベスト・ワン映画になりましたが、ナンセンスなセリフがかもしだす可笑しさは、それと共通のものを感じます。作品の根底には、人を食ったピリピリするような批評性があふれています。こういう笑いの種類は日本映画にはないかもしれません。


主人公のニック・ネイラー(アーロン・エッカート)は、タバコ業界の広報担当者。高まる禁煙運動のなかで、軽妙な口先1つでその逆風に立ち向かっていきます。理屈にならない理屈を、まるで一理あるように感じさせる論理のへんな痛快さ。これを構成した監督・脚本のジェイソン・ライトマン、尋常の才能ではありませぬ。


タバコ業界、アルコール業界、火気銃砲業界の広報担当者3名が酒場に集まって、互いの苦心を語りあうなんてシーンも、いいなあ(笑)。よくやりますよ(写真上)。

笑顔をふんだんにふりまきながら、タバコの有益性を説く、ニック・ネイラーを演じるアーロン・エッカートの演技もすばらしい! 正直言って、見るまではこんなに笑える映画とはおもっていませんでした。どうこういうより、まずは見るべしかな(笑)。

監督・脚本のジェイソン・ライトマンという名前。しっかり記憶のなかにとどめておかなくちゃ。