■早朝、竹原へ向かう
朝早く起きて、竹原へ向かう。三原駅で竹原へ行く電車が1時間に1本程度しかないことに気づいたが、幸い30分ほどで来た。竹原までの電車からの眺めが、海と並行しているので、たのしかった。関東で見る海は、海の向こうは水平線だが、ここは海の向こうにいろいろな島が見える。形がまちまちなので、しばらく見ていてもあきない。本を広げたまま、窓からずっと外を眺めていた。
竹原は、きれいで静かな町だった。駅から降りるときれいな商店街が音楽を流していたが、歩いているひとがほとんどいない。これで商売が成り立つのかな、とよけいな心配をする(笑)。
「町並み保存地区」を歩いていても、観光客はあまりいない。とても静かな町だった。
10分ほど歩くと、「町並み保存地区」へ着く。道を歩くと、左右の家がみな統一された格子づくりになっている。松阪邸という古い家を見学したりしながら、もっぱら歩く。ちょうどいい店があったら朝食をとろうとおもったが、まだ開店していなかった。午後には岡山へ行く予定だったので、乗換えの不便を考えるとあまりゆっくりはしていられない。静かな町でできれば、もっと時間をかけたかった。
「町並み保存地区」の中間くらいに、西方寺(さいほうじ)という浄土宗のお寺がある。石段を登っていくと、京都の清水寺を模した寺院が見えてきた。西方寺の石段の上から眺める竹原の町並みも美しい。
清水寺を模して作られた西方寺。石段の上から、竹原の町を見下ろせる。
■岡山の後楽園と岡山城
竹原から三原で乗換え、岡山へ向かう。戻りも海の景色を見ていたが、クーラーの効いた電車に気持ちよく揺られ、少し眠った。あとは中野孝次の「五十年目の日章旗」という本を読む。tougyouさんが以前紹介してくれた本。戦争の残酷さ、とりわけ日本軍隊のどうしようもなさに、中野孝次が怒っている。中野孝次は、インパール作戦で兄を亡くしたのだった。読んでいて、中野孝次の歯軋りが伝わってくる。
倉敷、尾道、竹原と訪れた町は、みんな駅を降りると、東京とは違う雰囲気があった。そしてどこも町の大きさに較べて人が少なかった。しかし岡山は関東の地方都市とそれほど変わらない。
カレーが食べたいNと、サッポロ・ラーメンが食べたいぼくで意見が分かれた。別々に昼飯を食べる。ぼくは、昨日からずっとラーメンとビールの組合せで食事しているな、とおもったら、この旅行で4回目のラーメンだった(笑)。
路面を走る市電で、後楽園へ。時間があまりないので、足早に園内を1周する。続いて岡山城を見学。
左は後楽園。右は岡山城。
再び市電に乗って、「西大寺」という市電の駅の近くにある居酒屋で、夕食代わりに一杯飲む。50分ほどのあいだに、つまみを次々食べて、ビールと焼酎を流し込んだ。
岡山駅まで市電でもどり、これからまだ旅行を続けるNと別れ、ひとり岡山空港行きのバスに乗る。
岡山駅から岡山空港までは30分程度。19時45分の東京行き飛行機に乗ると、定刻より少し遅れて、21時20分に羽田空港に着いた。あっけないほど早い。モノレールから山手線に乗り換えると、車内は満員で蒸し暑く、とにかく第一に帰宅して早くシャワーを浴びたかった。