かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

鎌倉の散歩(10月18日)

北鎌倉駅へ着いたのが午前10時40分頃。円覚寺の境内をひと回りしてから、小津安二郎監督の墓を訪ねる。


円覚寺はなんどか来ているが、小津監督の墓を見るのは初めてなので、インターネットで墓の位置を調べておいた。が、その見当の方へ歩いていくと、「小津安二郎監督の墓はこちらへ」という親切な道しるべが出ている。



わたしの前には、60歳代くらいの男性が墓に水をかけたあと、合掌していた。


そのひとのあと、写真ではなんども見ている「無」と刻まれた小津安二郎監督の墓の前に立つ。


わたしはめったに墓に合掌する習慣がないので、写真を数枚撮らせてもらった。そのあとには、外国人の初老の夫婦が墓を見て、何か話しながら、わたしの終わるのを待っていた。


小津の墓には、新しい花が添えられ、酒好きの小津のために、日本酒が何本も並べてある。頻繁に小津ファンが訪れるのだろう。あらためてその人気を実感する。



円覚寺を出て、東慶寺浄智寺を拝観、そのまま山道を上ったり下りたり、源氏山公園へ向かう。ふだん、歩く以上の激しい運動をしない怠け者には、これだけで体力を消耗した。


源氏山公園で、玉こんにゃくをつまみに缶ビールで喉を潤す。



源氏山からあと、はじめは鎌倉大仏のほうへ抜けるつもりだったが、銭洗い弁天までの急な坂を下りたら、もう一度その坂を上って長谷のほうへいく元気がなくなった。


それで、途中佐助稲荷に立ち寄り、そこから予定としては、あとで来ようとおもっていた里見弴の「縁談窶」で、「阿野が都留子を待ちながら、いにしえの情事へ想いを馳せるの場」へ、Marcoさんのブログの地図と写真を頼りにいってみる。


左端の、黄色い縁取りのある石段の建物が目印になる。で、ここだろうとおもったが、そこがちょうど工事中で、イメージがぴったり重ならない。向かい側の家の感じもちょっとちがうようだ。でも、Marcoさんの地図で確認すると、やっぱりここしかない。




Marcoさんがアップしてくださった写真と地図は、こちら。



鎌倉駅で昼飯とビールを、と考えていたが、小町通りも、駅付近のお店も人人人で、落着いて食事するふんいきではない。


そのまま江ノ電長谷駅へいく。江ノ電も通勤電車のようにぎゅうぎゅう詰めだった。


長谷も混んでいる。


大仏も長谷寺も寄らず、そのまま歩いて吉田秋生作「海街diary」の舞台に登場する御霊神社へいく。作品の影響かどうかわからないけれど、御霊神社も、前回来た時にくらべると、人が多い。


御霊神社の前の踏切を、江ノ電が通過するのを見る。





極楽寺へ向かう。


朝から玉こんにゃくと缶ビールしか腹にいれてないので、なんでもいいから座れてビールが飲めればいいや、とおもっていたら、極楽寺近くにラーメン屋さんがあった。腹が減っていたので、ラーメンではなく、カレーライスを頼んで、ビールを飲む。


お店のテレビで今夜9時からの「世にも奇妙な物語」の予告編というかダイジェスト版のようなものを放送していた。


極楽寺をサラッと拝観して、極楽寺駅へ。


どこか海を見てから鎌倉駅へもどろうと藤沢行きに乗ったら、またぎゅうぎゅうだ。人をかき分けて、反対側のドアで降りる気力はない。極楽寺で乗ったのと同じ左側のドアがあく「七里ヶ浜」で下車。


駅から海までは近かったが、トワ・エ・モアが歌ったような「いまはもう秋。誰もいない海」ではなくて、カップルや若者集団がいっぱいいた(笑)。早々に引き上げる。


鎌倉行きの江ノ電は、それほど混んでなかった。


鎌倉駅付近の「島森書店」へいく。30年前ころ、ここに「かまくら春秋社」から出ている里見弴など、鎌倉文士の本がたくさん並んでいた。


ここで特集雑誌「里見弴読本」(正式なタイトルはちがうかもしれない)や、志賀直哉といっしょに満州を旅したときの里見弴の旅行記「満支一見」を発見し、ウハウハ喜びながら買ったのを思い出す。今回はとくに収穫なし。



鎌倉から大船へ移動。2日前に「上限1万円」の条件でとった宿へ午後5時半にはいる。素泊まりならこれで十分だ。夕飯は、どうせ町の居酒屋ですますのだから。


ひと休みしてから、大船の町へ出る。これからしばらくの時間、ひとりでくつろげそうな居酒屋をさがす。


刺身のおいしそうなお店があったのではいる。


「とりあえず生ビールください」


これから、至福の時間がはじまる(笑)。