かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

三隅研次監督『剣』(1964年)

【あらすじ】

大学の剣道部。いっさいの遊びをさけて、剣道一筋に生きる国分(市川雷蔵)と、剣道を愛しながらも、大学生活を適度にたのしもうとする賀川(川津祐介)の生き方を対比的に描く。原作は三島由紀夫


国分と賀川は、剣の技術では、部内の1、2を争う双璧の腕をもつ。しかし、剣道部の担当教授は主将に国分を選んだ。国分は厳しい管理で、剣道部を統率する。


国分の徹底したストイックぶりに賀川は反抗心をいだいた。大学一の美人・恵里(藤由紀子)に国分を誘惑させるが、失敗する。さらに賀川は、夏の合宿で、国分の留守をねらって、部員たちを海に誘いだして、泳がせる。剣道部で、水泳は禁止されていた。このことが発覚する。


主導者の賀川が謹慎処分を受け、無事合宿は終了する。


<打ち上げ>で、部員をねぎらう国分だが、その後、主将としての責任をとって自殺する。死をもって責任を果たした国分の純粋さに、剣道部の担当教授(河野秋武)は、心からの敬意と哀悼を捧げる。


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ringoさんに雷蔵映画のDVDをまとめてお借りしたので、少しずつ見ています。眠狂四郎シリーズも2本見ました。粋でニヒル眠狂四郎というキャラクターは市川雷蔵にぴったりですが、それはまた別の機会に。


それにしても、この映画『剣』は、すごい。戦争中の軍国映画を見ているようでした。はじめから国分には共感がもてないので、とりあえず雷蔵映画として眺めていましたが、ラストの自殺には唖然としました。ここまでやるかな、しかし。


これは三島由紀夫の原作にあるものなのか、三隅研次監督の趣向なのか。管理主義と自己陶酔とヒロイズム……わたしの嫌いなものが集合した映画でした。