藤野千夜(ふじのちよ)はおもしろい!
映画『ルート225』を見て、この映画の原作を読んでみました。この作家、会話のうまさが、抜群です。
里見弴の会話の絶妙さを、ぼくは同じ日のブログに書いていますが、藤野千夜はそれに負けておりません。話し手の心の動きを、会話で掬いとるセンスは、天性のものとしかおもえません。
姉も弟も現代に生きている。このわたしのすぐそばに生きている。そんな感じがします。ですから、微妙に違う世界にいってしまうファンタジー小説でありながら、現実離れがありません。
少し違う日常(母と父が不在ということでは少しではないかもしれませんが)に入り込んでしまった姉弟(きょうだい)の<ありえない話>なのに、とてもリアルで、生き生きとしていて、読み物としてもおもしろい小説でした。