かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

マイク・バインダー監督『再会の街で』(2007年)


大学時代のルームメイト、9.11で愛する家族を失ったチャーリーと、成功したが悩みを抱える歯科医アランが、偶然NYの街で再会した……。再び友情を育む中で、人生への普遍的な問に迫る、深遠で温かい極上の人間ドラマ!!


(「ギンレイ」映画案内より)


2001年9月11日のテロで、一瞬に妻と娘たちを失った男の苦しみを描いています。


チャーリー(アダム・サンドラー)は、いまも<悲劇>が受けとめきれず、家族の記憶を喪失しています。妻子のことを思い出そうとすると、精神が爆発してしまいそうで、外出しているときは、ヘッドホーンの音楽の中に閉じこもり、自宅ではゲームに興じる日々……。


妻子を失ったチャーリーが、センチメンタルに描かれず、おかしみをもって壊れているのが、切ない。悲劇は、すなわち喜劇なんですね。


心を閉ざしてしまったチャーリーをじっと見つめる友人アラン役(映画の主人公は、この二人)には、『ホテル・ルワンダ』のドン・チードル。映画は、二人の友情の物語でもあります。



ロック・ファンとしての興味でいえば、スティーヴン・タイラーエアロスミス)の娘さん、リヴ・タイラー精神科医の役で出ています。少し歳をとりましたが、今もきれいで、彼女が辛抱強くチャーリーの心をひらいていきます。


チャーリーは、最近のボブ・ディランにそっくり(写真右)。どうしてもボブ・ディランに見えてしかたがありません。設定されてる歳はずっと若いのに、風貌はどうみても80年代以降のディランです。


全編にブルース・スプリングスティーンザ・フーの音楽が使われているのもロック・ファンにはうれしいところですが、となると、この主人公のディラン似は、確信犯ですね。勝手にひとりでなっとくしました(笑)。


いい映画です。