映画を見て、好意的な印象をもてないときは、感想のアップはむずかしいですね。きっとこの映画で感動したひとがあるとおもえば、率直な感想を書くのも鈍ります。
ですが、やっぱりダメなものはダメ。
このところ、長澤雅彦監督、相米慎二監督の、上質な<青春映画>を続けてみていましたので、以前ぼくのなかにあった「青春映画はどうもなあ」という苦手意識をずっと忘れていました。それだけ、最近見たどの作品もすばらしかったのです。
そのいやな感触を思い出させてくれたのは、この『なごり雪』という作品でした。
全部が不自然に縁取られた<作為的な青春>。観念でこしらえた、ぎこちない登場人物。人と人とは、もう少しデリケートに関係性を築いているとおもうのに、ドラマの進行のためにあるとしかおもえない、無神経なセリフの連続。
故郷へやってきた女子大生(宝生舞)が、ヅケツケ主人公・祐作(細山田隆人)との、仲のいい大学生活についてしゃべる。
そばには、幼なじみの女性・雪子(須藤温子)がいる。気配から、よほど鈍感でなければ、この二人が特別な感情をもちあっていることはわかる状況です。
いうだけいってから、「わたし、なにかへんなことをいったかしら?」。そこまでいわせるかよ。この映画を象徴しています。
若者たちを演じる俳優にも、魅力を感じられませんでした。最近脇役で好きになった三浦友和も、ただの二枚目、なんのおもしろみもありません。