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原作は、石坂洋次郎の代表的な青春小説。
今井正作品は、はじめての映画化で、その後も繰り返し映画化されている。青春映画の古典のような作品といってもいい。
ネットで『青い山脈』を検索してみたら、本作を含めて5つの映画作品がヒットした。
年代の離れた、これらの5作に出演した俳優の顔ぶれを見ていくと、その時代が見えてくるようなおもしろさがあるので、列記してみました。
ぼくにとって、リアルタイムだったのは、1963年吉永小百合、浜田光夫コンビの『青い山脈』で、映画に熱中し、原作も読みました。で、この映画化が、原作以上に、新子と六さんの、若い二人に焦点をあてていることも知りました。
1963年版を見てから、さかのぼって1949年版(原節子、島崎先生)と1957年版(司葉子、島崎先生)を見ていますが、繰り返し見ているのは、やはり最初に映画化された今井正監督の1949年版です。
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戦後まもなく、まだ封建的な風習が強く残る地方の町。
ある女学校のクラスで、転向してきた女子学生の寺沢新子に、偽ラブレターが届く、という小さな事件が起こる。
偽ラブレターの犯人はつかまるが、彼女は、寺沢新子の素行が悪いので、学校の名誉のために、彼女の品位を試してみただけ・・・と、愛校心からしたことを強調する。
小さな事件なので、注意して終わることもできたが、赴任してまもない、若い女教師島崎先生は、「愛校心を借りた卑劣な行為」として、偽ラブレターを書いた女生徒の反省をうながし・・・それが学校の、やがてはその町の大きな問題に発展していく。
女生徒の愛校心を支持するか、島崎先生の<男女が恋愛・交際することは不潔なことではありません。それを、下品な興味で試そうとすることこそ不潔な行為です>という考えを支持するかで、理事会はまっぷたつに分かれて、論議がはじまる・・・。
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あらすじは、以上のようなもの。小説も映画も大ヒットした作品で、登場人物の描きわけもよく出来ています。ストーリーも、どうなっていくのか、興味がとぎれません。ラブレターの誤字では、女生徒の漢字の無知をサカナにして、見るものを笑わせてくれます。
町の古い封建的な風習に妥協せず、敢然と立ち向かうのが若い女教師を演じる原節子。凛々しく気品のある美しさは、この作品でも、ひときわ光彩を放っているようにおもえました。
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ただしですね、問題が解決して、海へサイクリングにいく。
海に向かって六さんが「おれは新子さんが好きだ好きだ好きだ」と叫ぶシーンは、感動よりも恥ずかしさが先にきます(笑)。
しかしそれはそれとして、こういうちょっと恥ずかしい感動シーンは、戦後の青春ドラマによく見られたので、そのハシリであったのかもしれません。