ボブ・ディランの「見晴し塔からずっと」は、8枚目のアルバム『ジョン・ウェズリー・ハーディング』(1967年)に収録されている。このアルバムは、前作のロック色の強い『ブロンド・オン・ブロンド』とうってかわって、のびのびとしたカントリー・ソングで占められていた。
『ジェン・ウェズリー・ハーディング』は、ボブ・ディランのなかでは、あまり話題にのぼらない作品集だけど、ただこの1曲がジミ・ヘンドリックスにカバーされたために、ボブ・ディランのなかでも、有名な曲の1つになった。
「ぬけだす道があるはずだ」とペテン師がドロボウにいった
「あまりにもややこしくて息つくひまもない
経営者たちはおれのブドー酒をのみ、農民たちはおれの土地をたがやす
そいつらのだれひとりとしてそのことの価値をしらない」
「そう興奮しなくてもいいさ」とドロボウはいたわっていった
「おれたちの仲間でも多くのやつが生きることはペテンにすぎないとおもっているさ
だがあんたとおれはそんなことは卒業したしこれはおれたちの運命じゃない
ウソをしゃべるのはよそう夜がふけてきた」
見晴塔からずっと王子たちが見張っていた。
すると女たちはみんな出たり入ったり、はだしの召使いたちもそうしていた。
とおくのほうでヤマネコがうなった。
ウマにのった男がふたり近づき風がほえはじめた。
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●意外なようですが、ブライアン・フェリーにはボブ・ディランのカバー曲が多い
●比較的近年のカバーでは、ニール・ヤングにもっとも感動した
●そして、この曲を有名にしたジミ・ヘンドリックスの熱演