以下の文は、tougyouさんがアップしてくれた「あの人に会いたい」というシリーズの、志賀直哉の映像についてコメントしたものですが、あとで自分で検索しやすいように、ブログにもコピーさせていただきます。
tougyouさん、映像のアップ、ありがとうございました。
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これが、tougyouさんがアップしてくれた映像<10分間の志賀直哉>です。
■beatleの、tougyouさんへのコメント。
10分間で表現された志賀直哉。。。
長年、恋慕いながら逢うことのなかった恋人とバッタリ再会したような心地です(笑)。
このひとの特徴がよく出ている10分間でした。
武者小路との気取らない<友情>。二人の会話にもそれが出ていました。武者が「志賀は本を貸すのが好きで、こっちがいわなくても貸したがる」なんていってるのも、じつに可笑しい。二人の出会いも、なんにも劇的なものはなく、あえていえば、志賀が2年落第して、武者小路のクラスに落ちてきたこと(笑)。
志賀は、見えすぎる眼をもち、それで描写を書くものだから、精密を通り越して、煩雑な文章になった。それをどう削るか、ということで苦心する。
その気合を見つけたのは「或る朝」という短い短編で、お祖母さんとの朝の小さないさかいが素材になっている。この短編で、突然、小説の極意のようなものを発見したのか、作品は、贅肉がそぎおとされている。
が、10分間映像では、そこまで具体的に触れる時間はなかったようです。
志賀の声は、ちょっと高く、しゅべりかたは、あれは東京弁なのかどうかわかりませんが、かなりクセがありますね。けっして流暢ではなく、むしろ下手な部類かもしれません。対談はやっても、ほとんど講演の類をやっていないのも、人前でしゃべったりするのが苦手だったのでしょうね。
自作を朗読していますが、<棒読み>です(笑)。もうひとつ『暗夜行路』の、大山の夜明けの部分を読むのを、聴いたことがありますが、やっぱり<棒読み>です。
これは、志賀らしい含羞で、感情をいれた朗読など、望むほうがムリというもの(笑)。あのそっけなさが、志賀直哉ですから。
前回のコメントにも書きましたが、文化勲章受賞の感想を求められて、「感想は別にありません」と答える。これこそ、志賀直哉です(笑)。
作品とその人とは別、とはいっても、ここで志賀直哉が文化勲章受賞の感動をメンメンと述べていたら、ぼくは10年の恋も冷めているかもしれません。この「別にありません」は、志賀の面目躍如たるものがあります。
以上、10分間映像への、ぼくの自分勝手な感想でございました(笑)。