tougyouさんに教えてもらい朗読で志賀直哉の「転生」を聴く。「転生」は、志賀夫妻らしい二人の人物が登場するが、途中からユーモラスな童話へ発展していく。黙読とは違うおもしろさがあった。
「転生」を聴いていたら、さらに他の志賀作品の朗読がネットにないだろうか、と貪欲になった(笑)。
朗読で、志賀作品の何を聴きたいか?
志賀直哉は風景描写の達人である。<尾道の描写><大山の夜明けの描写>など、すぐに思い浮かぶが、もっと小さな優れた描写が、志賀作品のそこかしこにある。
それを自分で発見するのも志賀直哉の小説を読む楽しみかもしれない。
わたしは、赤城山の深い闇と沼の光景を描いた「焚火」、我孫子の手賀沼の雪景色を描いた「雪の日」、伊豆半島の夕暮れを美しく描いた「真鶴」が、とりわけ志賀の短編のなかでも、好きだ。
志賀直哉のもうひとつの得意は、子供や動物の描写だろう。
子供や動物は、感情をそのままに行動するので、志賀の好みにあうのかもしれない。志賀は、本心と行動を別々にするような現代人の<腹芸>は、題材として苦手ではないか、とおもう。
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美しい風景のなかに子供が活躍する小説といったら、やっぱり傑作なのは「真鶴」だろう。
と、ここまで書いたら肝心の「真鶴」にたどり着くまでに時間がなくなってしまいました。あとは、また後日続けます(笑)。