tougyouさんやringoさんが話題にしていた<宮川一夫の特集番組>を見ることができました。ぼくは映画が好きでも、あまり製作の内部にまで関心を持って見ている方ではないので、カメラマンがどんな役割を果たしているのかまで、これまで特別な注意を払って見ていることはありませんでした。
今回の特集を見て、映画とカメラの深いかかわりあいを知ることができました。
印象的な『羅生門』の光と影の織り成す美しい映像が、鏡を使って撮影した、という野上照代の話。『雨月物語』のモノクロ映像のあの神秘的なシーンと墨絵への関連、ラストで亡霊の妻が登場するときの映像の工夫など、宮川一夫の非凡さが細かに説明され、理解を深めることができました。
小津安二郎の『浮草』には、小津の他の作品にはない俯瞰からの撮影がある、という指摘にもなっとくし、そういうところにも、あの作品が小津らしくない違和感を感じる要因になっているのかもしれない、とおもいました(だから、映画がつまらない、というわけではありません)。