おおかたの予想を裏切り、『ハートロッカー』が、大作の『アバター』を破ってアカデミー賞作品賞をとった、ということを聞いて、もとがミーハーなので、俄然その作品が見たくなりました(笑)。
『アバター』は『アバター』でおもしろかったし、こういう傾向の全く違う映画を同じ土俵で勝負させる、というのにもともとムリがあるような気がしますが・・・ただ『アバター』はもう興行収入の新記録を更新しているというのだから、賞に頼らなくも、十分収益をあげているわけですし、やっぱりどちらかというと観客の集まりにくい『ハートロッカー』に軍配をあげたのは、正解ではないか、とおもいました。もちろん、作品そのものの力が一番の決め手でしょうが。
日本でも「アカデミー賞」効果は抜群でした。水曜日の「レディース・デイ」にいったのですが、女性客を中心にして、「ワーナーマイカル板橋」は、観客席がほぼ満員。平日はいつも閑散としていることが多いので、やっぱり「アカデミー賞」効果、すごいです。
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主人公が仕掛けられた爆弾を処理するエキスパート、という設定だけで、からだの奥が恐怖でザワザワしてきます。
街に、時限爆弾が仕掛けられ、それを爆発しないように、未然に処理する・・・その一部始終をカメラが追っていく。
戦争のさなかですから、相手もどこでどう攻撃してくるかわからないし、自爆テロもありますし、その緊迫感は、すごいです。
しかも、主人公は、ブルース・ウィリスやシュワルツネッガーなどのスーパー・アメリカン・ヒーローではない普通の兵士。
なのに、やけにクソ度胸があって、目前の危険を省みない・・・そこがまた怖い。
つまり、映画のつくりとしては強烈なサスペンス・ドラマです。
違うのは、この背景が荒唐無稽なものではなく、いまイラクでは、こういうことが日々現実に起こっているのだ、という認識でしょうか。
それが見ている観客の心にグサグサ突き刺さってくるので、いわゆる映像の行間にこめられたノンフィクション的効果が、さらにサスペンス度を高めているのではないか、とおもいました。