一貫して「女優という仕事」が嫌いだったという、高峰秀子の近況が、詳しく描かれている。
斉藤明美さんの本で読んだのは、『高峰秀子の捨てられない荷物』が最初で、これは2冊目。どちらも、おもしろい。高峰秀子のファンにはたまらない本である。
著者は、高峰秀子を「かあちゃん」、松山善三を「とおちゃん」と呼ぶ。買い物を頼まれると夫妻の家に届け、高峰秀子の手料理をご馳走になる。
いま高峰秀子・松山善三夫妻の日常をわたしたちに報告できる唯一のひとだ。
高峰秀子は、映画の催し物などにまったく顔を出さないので近況の貴重な証言になっている。また、なぜそうした表舞台に登場しないのかも、読んでいくとわかってくる。
80歳を過ぎた高峰秀子が毎日勢力的に読書し、心の赴くまま元気に暮していることを知るのは、うれしい。