戦いの際、刀が折れてしまい命を落とした恩師。恩師の娘に父の仇を討つため名刀を作ってほしいと頼まれるが、自分が献じた刀のせいで恩師が殺されたのも同然と思う刀鍛冶は名刀を作る自信がなかった。しかし、娘に励まされ名刀作りに打ち込んでいく…。
(「goo映画」の解説から)
昭和20年2月に公開された作品だという。敗戦の直前に作られた仇討ち映画だ。瀕死の国家のなかで、まだこうした映画を見に行く<元気>が、国民にあったのだろうか。
名刀をつくる<刀鍛冶>職人を描いても、溝口健二監督が、役者や芸人・芸者などを描くときのような人物描写の厚みは感じられない。
得意な素材に魂をこめるときの溝口健二は凄い。しかし、自分の関心の薄いテーマを扱うときは、このような一種どうでもよい映画を撮る。
関心の濃度がそのまま作品に反映される正直な監督なのだ、と思う。