公開されたばかりの映画なので、内容にはあまり触れない。じっくりと見せてくれる映画だった。147分という長さをまったく感じさせない。15分も見ていると、作品のなかに惹きこまれてしまう。
『八日目の蝉』は、センチメンタルになりやすい素材を、センチメンタルな感性で撮らなかったことがよかった、とおもう。
この手の大きな素材は、作者の、<観客をいっぱい泣かせてやろう!>という、甘ったるいネライが見え透くと、つまらなくなる。長い映画なのに、どこにも、そういう安っぽさをかんじなかった。
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登場人物(井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子・・・)の苦しみ、悲しみが、すばらしい力強さで伝わってくる。泣く気などないのに、なんども自然に涙が出てきて、困った(笑)。
ひとりひとりの俳優が、みんな生きている。永作博美はいままでの映画でもうまい俳優だとおもっていたが、この作品では凄みをかんじた。
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過去と現在が交錯する。下手な映画では話がこんがらかってしまったりするが、そういうわかりにくさはない。ひとつに溶け合って、感動を強くしている。
2011年、これからも優れた映画が何本か公開されるだろうけど、この作品がそのなかの注目の1本になることは、まちがいないとおもう。
映画が終わってから、真っ先にトイレで顔を洗った(笑)