このところ見た映画をブログにアップしないまま日にちが経ってしまった。
ブライアン・ヘルゲランド監督『世界を変えた男』は、息子のNからすすめられた。
大リーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン(1919年〜1972年)が、すさまじい偏見と差別を受けながら、傷つく自尊心に耐え、打者としての実績を重ねていく姿を描く。
改めて、アメリカの差別意識、偏見のすごさを見る。
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信長が本能寺で死んだあとの、織田家の跡目を誰にするかを決定する、重臣たちの駆け引きを描いている。
先に三谷幸喜の原作を読んだが、こちらはほとんど柴田勝家、豊臣秀吉、丹羽長秀、織田信孝、織田信雄、お市などのモノローグで構成されている。
これをどう映画にするのだろうな・・・と展開に興味をもっていたが、さすが三谷幸喜監督、きちんと映像的に楽しい作品に仕上げている。
清須会議のあいだ、逗留する各武将の部屋が、中庭をはさんで、目と鼻の先で近く、その近距離のなかで、権謀策略が闘わされるというのが、あやしく濃密で、コミカルでもある。
コミカルとは全然ちがうけれど、二つのヤクザの巨大勢力が、狭い空間のなかで争う、黒澤明監督の『用心棒』のセットを連想した。
戦には強いが知略は苦手な柴田勝家に役所広司、その柴田勝家を助ける知恵者丹羽長秀を小日向文世、織田家の相続を利用し、天下を狙う豊臣秀吉に大泉洋。どの役者も、持ち味を発揮している。
さらにバカ殿の織田信雄(のぶかつ)に妻夫木聡、利にさとく最後まで会議の流れをさぐる池田恒興に佐藤浩市・・・と、ふつう二枚目俳優のイメージの強いふたりに、三枚目役をふっているのも、この監督らしい配慮で、楽しい。
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タナダユキ監督の『四十九日のレシピ』を見たい、といったのは妻。わたしは永作博美のファンなので、異存なし。
突然亡くなった母が遺した四十九日のためのレシピ。生前理解しあえなかった家族が、妻の遺志をかなえようと四十九日を準備していくうちに、母の優しい心を知っていく話。
石橋蓮司と永作博美の説得力のある演技でなっとくしてしまう。うまいなあ、このふたり。途中から読めてしまうような展開なのに、スクリーンから眼を離せなかった。
いい映画を見た後で飲むお酒が、うまい。