ジョージ・ハリスンの声はしわがれて、ボブ・ディランのようだ。
その声のせいか、あるいは契約を果たすため急いで制作したせいか、アルバム『ダーク・ホース』(1974年)の評判はよくない。
1974年の全米ツアーは、このガラガラ声で敢行され、厳しい批判を浴びてしまう。その後、ジョージはライブ活動をやらなくなってしまうが、この不評が原因だとすれば、残念なことだ。
耳慣れた演奏曲のアレンジを一新し、ハスキーな声で歌うジョージは、当時ファンが期待したビートルズ・サウンドの再現ではなく、まるでディランのようだ。いまライブ映像の全貌が公開されたら、どんな評価を受けるだろう?
ライヴ映画も計画されていたはずだから、もしきれいな映像があるものなら見たいな、と、ずっとおもっていた。
マーティン・スコセッシ監督の『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』の予告編に、この74年ツアーの一部がうつくしい映像で出てきたので、今回どこまで公開されるのか、期待した。
しかし結局、本編で公開された映像は「ホワット・イズ・ライフ」と「ダーク・ホース」の2曲で、それも途中で切れてしまう。
あとのライヴ映像は、あるのかないのか?
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●これは比較的良好な海賊版の映像で、いくつかのコンサートが合成されてできている。