かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

レッド・ツェッペリン『祭典の日』を見た!(10月17日)


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午後6時ころ、渋谷駅へ着く。雨が降っていた。


映画がはじまるまで時間があったので、「TOHOシネマ」へ寄って、チケットの自動発券をすませてから、近くの飲食店が並んだ路地を散策してみる。



レッド・ツェッペリンの一夜限りの再結成ライブがおこなわれたのは2007年12月10日。それからの5年間は長かった。


もうあきらめかけていたところへ、突然知人から、DVDとCDの発売と10月17日・10月18日の2日間限定での劇場公開など・・・の知らせがきて、ほんとうにびっくりした。


以来、頭のなかはレッド・ツェッペリンでいっぱい。映画の見られる10月17日が1日1日近づいてくるのを、ワクワクしながら待っていた。



19時20分から上映開始。


1曲目の「グッド・タイムス・バッド・タイムス」からすごい迫力だ。


目の前で見ている光景が信じられない。本物のジミー・ペイジロバート・プラントジョン・ポール・ジョーンズ、そしてジョン・ボーナムの息子ジェイソン・ボーナムが演奏している。


サポートメンバーは誰もいない。それはそうだろう、これほど緊密なバンドに、誰も立ち入ることができない。ムダが削りおとされて、原石のロックが剥きだしになっているようなバンドだ。


本気度がひしひし伝わってくる。すごい。全盛期を懐かしむような感傷がつけこむすきがない。


現在見ているレッド・ツェッペリンが、ほんとうにすばらしい。名曲があとからあとから続く。こんなすごい曲が目の前で次々演奏されて、なにかひどいバチでもあたらないだろうか。

  1. グッド・タイムス・バッド・タイムス
  2. ランブル・オン
  3. ブラック・ドッグ
  4. 死にかけて
  5. フォー・ユア・ライフ
  6. トランプルド・アンダー・フット
  7. 俺の罪 (Nobody’s Fault But Mine)
  8. ノー・クォーター
  9. 貴方を愛しつづけて
  10. 幻惑されて (Dazed And Confused)
  11. 天国への階段
  12. 永遠の詩(The Song Remains The Same)
  13. ミスティ・マウンテン・ホップ
  14. カシミール


で、本編が終わる。


興奮する会場や、感動で泣いている女性の姿がスクリーンに映る。


アンコールは、1回目「胸いっぱいの愛」、2回目が「ロックン・ロール」。


出し惜しみのない、セットリスト。1曲1曲にいろいろな思いがよぎるが、目の前の演奏がすごいので、感傷にひたっているひまがない。


それにしても、2012年という時代に(実際に演奏されたのは、2007年だけど)、本物のレッド・ツェッペリンが、「幻惑されて」や「天国への階段」や「カシミール」を演奏するのを、映像とはいえ体験するときが来るとは・・・。


ジミー・ペイジは、やっぱり類い稀なギタリストだ。多種多様で個性的なリフは、単独よりもレッド・ツェッペリンというバンドで120%の力が発揮されることを、今回あらためて実感した。


ステージでは、汗っかきなのにひとりだけ厚着して登場(笑)。案の定はじまると髪から顔から、汗が滴り落ちてくる。たちまちコートを脱いで、さらにベストを脱いで、Yシャツ1枚になったが、それでも汗はとまらない。


ロバート・プラントのヴォーカルは、深みを増している。むかしの名曲をそのままなぞるのではなく、いまの感覚で、ていねいに歌っている。それが、とてもいい。


ジミー・ペイジジョン・ポール・ジョーンズは、その後の再結成ツアーに乗り気でないロバート・プラントに代わるヴォーカリストを探したが、結局見つからず断念した、という記事を読んだ。このライブを見ると、なっとくしてしまう。


ロバート・プラントの声に似たひとはいても、ヴォーカルであってヴォーカル以上のような、このバンド特有のグルーブ感を出せるヴォーカリストは、彼のほかにいないかもしれない。


今回のライブを見ていて、ジョン・ポール・ジョーンズの存在の重要さに、あらためて気づいた。


このライブでは、1曲ごとの、ベースやキーボードの魅力がしっかりとらえられている。鮮明にすばらしさが伝わってくる。


メンバーのなかで唯一淡々と演奏しながら、ときどき楽しそうな笑顔を一瞬見せるジョン・ポール・ジョーンズの表情が、とってもよかった。こちらまで、うれしくなってくる。


こういう腕利きのメンバーがいるから、安心してフロントのメンバーは、演奏の冒険ができるのだろう。いまさらいうことではないけれど。


そして、ジョン・ボーナムの欠落を埋めているのが息子のジェイソン・ボーナム。彼なくして、これほど感動的なレッド・ツェッペリンの再結成はありえない。父の情動的な演奏よりも、抑制的にかんじられたが、よく大きすぎる穴を埋めてくれた、とおもう。


ツボをとらえたすばらしいドラミングに、なんども魅了された。


ザ・フーの再結成を、次世代のザック・スターキー(もちろん、リンゴ・スターの息子さんです)が支えているように、レッド・ツェッペリンの再結成も、ジェイソン・ボーナムが不可欠なことを、ライブ映像から確信した。


レッド・ツェッペリンは、すごかった。


伝説の彼方から飛び出してきて、それが現実のものであったことが、また証明された。一夜限りのために、こんなすごい演奏をしてしまう彼らに、言葉を失ってしまう。


これだけのロックを体験させてくれるバンドが、一夜限りでまた終息して、伝説のなかへはいってしまうのは惜しすぎるけど、これは2007年のライブであって、あれから5年という時間がなにもないまま過ぎたことをおもえば、バンドの今後の継続は期待できないのかもしれない。


いまは、一度でもこんなすばらしい奇跡が実現したことをよろこぶことにして、自分をなっとくさせている。



映画館を出ると、まだ雨が降っていた。仕事へいく気は、失せていた。ライブの余韻を楽しみたい。路地歩きで目星をつけておいた立呑み屋へ、寄ってみる。