かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

是枝裕和監督『そして父になる』(公開中)



10月5日土曜日、イオン板橋の5階で、中板橋の姉の家に泊まった妻と、9時50分に待ち合わせる。映画『そして父になる』は、10時から。


前日にインターネットでチケットを2枚予約してあったが、発券機に番号を入力しても2度3度はじかれてしまうのはなぜ?・・・受付の女性に番号を口頭でいいいながら打ってもらったら、無事に券が出てきた。簡単な数字入力ができていないというのは、やっぱり老化現象なのだろうか。



6年間可愛がって育てた自分の子が、病院の取り違いで、別の両親の子であることが発覚する。


そのまま、これまで育ててきた子を自分の子としていままでのように育てていくか。あるいは、自分の血を引き継ぐ子供を、あらたに引き取るか・・・。


この物語のふたつの家族は、そんな信じがたい状況に立たされて苦しむ。


エリートの道を順調に歩んできた野々宮良多(福山雅治)は、息子の慶多(二宮慶多)が自分の子でないと知ったとき「やっぱり」というような感想をもつ。俺の子供だったら、もっと出来がいいはずだ・・・。きれいに整った顔立ちの福山雅治が、冷ややかに映る。


一方、町の小さなでんき屋をやっている斎木夫妻(リリー・フランキー真木よう子)は、おおらかに子供を育てている。だいたい、父親の斎木自身が、仕事よりも子供たちと遊ぶのに熱心だ。このリリー・フランキーがいい。


そんな対照的な環境で育ったふたりの子供が、一度は、それぞれの産みの親のもとへ試験的に交換される。


いきなり違った環境へ渡される子供こそ、いい迷惑な話なのだが。


是枝裕和監督は、取り違いが発覚してからの二組の両親と子供たちの関係をていねいに描いていく。描写にムリなく、話を飛躍させることもなく、じっくりとみつめていく。


彼らふた組の夫婦が、最後にどちらを選択したか、映画はあえて結論を描いていない。観客は、映画を見たあとで、どうすれば幸せになれるのか、自分でもう一度考えなければならない。