「ヒューマントラストシネマ有楽町」で、12時20分から、深川栄洋監督の『先生と迷い猫』を見る。ほとんど予備知識なし。
主演の猫が、町をブラブラ歩く姿が可愛くて、ファースト・シーンから見入ってしまった。猫に細かな演出などできないはずなのに、カメラはまるで意思をもっているような猫の表情をとらえる。
ノラ猫が、ゆったりと家々を渡り歩く。退職した元校長先生のイッセー尾形も、なんだか動作がゆっくりしている。登場人物が交わす会話ものどかで、町全体が昼休み休憩のような・・・。
そののんびりした感じは、むかし見た荻上直子監督の『かもめ食堂』や『めがね』、松本佳奈監督の『マザーウォーター』などのまったり路線の延長にあるような雰囲気で、それならそれで好きな路線だからいいぞ、とおもいながら見る。
ところが、後半、この「そら」とか「チロ」とか、歩き訪ねる先でちがった名前で呼ばれる三毛猫が行方不明になってから、まったり路線ががらっと変わって、にわかに登場人物の感情が激しく揺れる映画になっていく。
イッセー尾形は相変わらず達者だけれど、三毛猫もそれに劣らず好演。後半、猫が行方不明になって出てこなくなると、スクリーンがなんだかさびしくみえてくるほど。
『先生と迷い猫』公式サイト↓
http://www.sensei-neko.com/
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映画を見た後、早稲田の漱石ゆかりの地を散歩するつもりでいたが、天気がどんよりしているし、携帯電話を忘れて家と連絡がとれないので、急遽アパートへもどる。