かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

原節子展・夏目漱石展を見る(5月10日)


大船駅近くのホテルを9時ころ出て、駅前の「吉野家」で朝飯を食べ、鎌倉へ向かう。鎌倉から江ノ電で、長谷へ。前回は土日をかけての鎌倉散歩だったので江ノ電がギュウギュウ詰めだったけれど、きょうは平日の朝のせいか、それほど混んでない。それはこの1日そうだった。


江ノ電を長谷で降りる。幸いに雨の天気予報がはずれて、曇り空。このまま曇りで降らなかったら、陽射しに照りつけられることもなく、街歩きにはいちばんいい。


小学校か中学校の団体と重なったが、長谷の大仏もそれほどゴミゴミしてなかった。団体が過ぎるとひとがいなくなる瞬間もある。久々に鎌倉大仏をじっくり拝んだ。



長谷寺を見て、上から海の景色を眺める。長谷寺から御霊神社(ごりょうじんじゃ)を経て、左手にあじさいで知られる成就院を見ながら極楽寺へ向かう。成就院は工事をしていた。極楽寺はほとんど観光客はいなかった。境内をひと回りして、すぐに江ノ電に乗る。最後に、横浜の夏目漱石展を見るので、あまり鎌倉でゆっくりしていられない。


江ノ電で鎌倉へもどる。いつも寄る駅前の島森書店で、郷土本コーナーで何かないか見る。鎌倉春秋社の『鎌倉の文学』と、横浜の県立近代文学館への地図がほしかったので、鎌倉・横浜の旅行案内本を買う。


八幡宮へ向かう。池の近くで「ぼたん展」をやっていたので、それを見ながら、池の近くにあるお店でひと休み。ビールが見あたらないので、ところてんを食べる。


国宝館を見学して、先を急ぐ。川喜多映画記念館で「原節子展」をやっていのたで、急遽寄る。時間があれば生前原節子の住んでいた浄妙寺の方へ足をのばしたかったが、きのう雨でどこへも行けなかったので、それはあきらめた。川喜多映画記念館で、思いがけず原節子展を見られたので、うれしかった。小町通りはそこそこ混んでいたが、前回ほどではなかった。鎌倉駅から横浜駅へ向かう。



横浜駅から島森書店で買った旅行案内本を見て、神奈川近代文学館へ向かう。港の見える丘公園をぬけて、バラ園を通り、少し時間があったので大佛次郎記念館へ寄る。ここは2度目。ロッカーに荷物をあずけようとおもったら500円玉がなく、チケットの窓口の女性に両替をお願いしたら、ご自身が親切に荷物をあずかってくれた。その対応がとても感じよくて、うれしくなる。こういう親切を受けると、気持ちよさがずっと1日持続する。


大佛次郎記念館から近代文学館まではすぐ。今回の小旅行のもう一つの目的「夏目漱石展」に辿りついた。展示は中身が濃く、精細に見ていると、キリがなかった。最初はハガキや書簡の文面などていねいに見ていたが、これでは時間が足りなくなりそうだったので、展示物のキャプションを読んでまにあわせる。キャプションの要点が優れているので、それでそれほど差し支えなく、展示物の内容に触れることができた。2時間ほどで、夏目漱石の人生と文学の概観を展望できるというのは、効率的にいっても便利だが、ファンとしてはまたあれを読みたい、これを読みたい、という刺激になる。1000円のカタログと津田青楓の本を買って、近代文学館をあとにする。


元町・中華街駅」から副都心線へ乗り、一挙乗り換えなしで、和光市まで。和光市まで行けば、川越は射程距離内。今回の小旅行に持参した金子晋著『鎌倉再見』(1973年刊行。この本が出たとき、里見弴も小林秀雄大佛次郎も健在だったのだ。序文を里見弴が書いている)で、むかしの鎌倉と文士の交流を懐かしみながら帰る。