
- 作者: 川本三郎
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (4件) を見る
川本三郎さんの「東京」について書かれた本はどれもおもしろい。著者の感性が好きだから、ひとつひとつに共感してしまう。
変わる東京の過去の残影を探して、川本さんは歩く。歩きながら、小説や映画に描かれたその場所の幻影を重ねる。小説や映画の豊富な知識が、なんでもない散歩に深い奥行きを作り出す。
すごい読書量。読書量だけでなく、その小説やエッセイのどこそこに、該当の散歩の場所が出てくるのか、その記憶がふつうでない。映画の引用も同じ。過去見た映画で、いちいちどこの場所が舞台なのか、ロケ地なのか、記憶から導き出されていく。しかも知識の羅列ではなく、川本三郎さんの感性でしっかり統合されている。それが、わたしにはマジックを見ているようなおどろき。
川本さんのマネをして、最近日本映画を見るとき、ロケ地がどこかとか、映画の舞台がどこだろうとか、むかしよりは気を配るようになった。たまに知った場所が出てくるとうれしいけれど、そういうことはめったいにない。