ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディランだけれど、本人と連絡がつかない、というニュースを聞いて、たくさんのディラン・ファンが「いかにもディランらしい」とにんまりしたのでは。実際、これって前代未聞の珍事では。こういう思いつかないことを平気でやってしまうから、ディランはおもしろい。
しかし、ディランは行方不明になっているわけではなくて、淡々と(かどうかわからないけど)予定のツアーをこなしている。ノーベル賞の関係者は、ディランのライブ会場へ直接足を運べば連絡がとれるのではないか、とおもうが、彼らにとって、なにごともはじめてのことだから、よい解決策が浮かばないのかもしれない。
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ディランのライブに異変が起きている。この数年間(日本公演も含めて)、セットリストが固定して、近年のアルバムからの選曲が多く、60年代、70年代の曲は少なかった。それが、このところ久しぶりに演奏される往年の名曲が飛び出して、話題を呼んでいる。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」
「ハイウェイ61」
「やせっぽちのバラード」
「デゾレーション・ロウ」
「シンプル・ツイスト・オブ・フェイト(運命のひとひねり)」
など。
「ライク・ア・ローリング・ストーン」は3年ぶりのライブ演奏だというし、「運命のひとひねり」では、なんと、このところすっかりごぶさたしているギターを持って歌った、というからおどろく。
ボブの心境に何が起こったのか。いくつかの要因が考えられる。コメントはしなかったとしてもボブはノーベル文学賞の受賞をよろこんで、その高揚感がこの変化になったのではないか。
もうひとつ、ボブ・ディランは、10月になって、ビッグ・コンサートで、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、ニール・ヤングなどと同じステージに立っている。伝説のミュージシャン、バンドが集結したこのコンサートでは、当然ボブのファンだけが集まっているわけではない。ボブの熱心なファンだけのライブとは違って、有名なヒット・ソングをいつもより多くセットリストに組んだ、ということも考えられる。
そしてもうひとつ、ボブのたんなる心境の変化。近年の固定的なセット・リストに飽きて、これからのコンサートでは、こうした往年のヒット・ソングが日替わりメニューで最新の楽曲にまじってくる、ということも考えられる。ギターを持って歌う姿も頻繁に見られるのかもしれない。
ボブ・ディランのノーベル文学賞は、ファンにはうれしいニュースだけれど、そこから派生してくる今後のボブの動向が、ますますたのしみになってくる。
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「ライク・ア・ローリング・ストーン」↓
https://www.youtube.com/watch?v=QqDzOTXZGOk&index=8&list=RDr-qGZdptakw
「シンプル・ツイスト・オブ・フェイト」↓
https://www.youtube.com/watch?v=c8PD3TfB7As&index=17&list=RDr-qGZdptakw
「バラード・オブ・シン・マン」↓
https://www.youtube.com/watch?v=CUNZRlCeaEI