かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ナ・ホンジン監督『哭声 コクソン』を見る(3月25日)。


3月25日土曜日、新宿3丁目の「シネマート新宿」でナ・ホンジン監督の『哭声 コクソン』を見る。ひさしぶりに見る韓国映画だったが、おもしろかった。




ふしぎな感覚をもった映画で、見た後、疑問符ばかりがいっぱい残った。それはこちらが話の展開を見損なっていた、というよりも監督のもともとの意図ではないか、とおもうような複雑怪奇さ。


はじめは主人公の警官も、平和な村では事件らしい事件が起きないせいか、のんびりとしていて、自分が臆病な人間だということを同僚に隠しもしない。映画の前半は、コメディ要素が随所にあって、笑ってしまう。しかし、國村隼演じる怪しい日本人が村にやってきて、凄惨な連続殺人が起こりだすと、様相は変化してくる。


山中で、國村隼演じる日本人が、動物か人間かの生肉を食らうシーンは、ショッキング。このへんからホラー色が強くなってくる。映画「エクソシスト」を連想させる、悪霊にとりつかれた少女と祈祷師の闘い(「エクソシスト」で悪霊と闘うのは牧師だが)は、祈祷師の悪霊を祓う踊りに、ふしぎな魅力があって、ついつい見惚れてしまう。


あとはこの祈祷師が善人なのかそうでないのか、國村隼のあやしい日本人が、じつは悪霊を退治するためにやってきた祈祷師なのか、悪霊そのものなのか、見ていると混乱の極みに達してしまう。そこに、もうひとり正体のわからない若い女も加わって、どれが善でどれが悪なのか、見ている観客の頭のなかをごちゃごちゃにしたままで映画はおわってしまう。しかし、作品のもつ迫力は、圧倒的で、「わからない=つまらない」では、ぜんぜんない。


『哭声 コクソン』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=QjYws-jG400



どこで昼飯を食べるか迷ったが、結局、紀伊国屋書店裏の「磯丸水産」で、ホッピーにまぐろの漬け丼を注文して一息いれ、そのまま川越へ帰る。